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七罪 26KB 虐待-普通 悲劇 自業自得 現代 ネタかぶりしてないことを祈りつつ ■罪源 冬の長さを示すような根深い雪を踏みしめ、私は歩く。 肩をすくめて寒さを耐え忍び、我が家への帰路を歩く。 口元に漂う白い息を見ていると、心まで冷たくなってゆくようだ。 「おにいさん、れいむをゆっくりさせてね!」 緩やかな風に流れる灰色の曇り空は、日の光も通してはくれない。 雪を落としてこないのが、せめてもの救いだろうか。 両の耳などは、恥ずかしいぐらい真っ赤になっているのだろう。 指で擦ってみると、まるで自分の身体ではないかのように冷たくなっていた。 「あと、あまあまちょうだいね!」 コンビニ袋を持っていなければ、両手ともポケットに突っ込みたいところだ。 それでも今の私には、わずかな温もりがありがたい。 片手だけを上着のポケットへねじ込み、私は身を縮ませた。 閑散とした、見慣れた住宅街が周囲に広がってくる。 人通りも少なく、聞こえてくるのは自らのコンビニ袋が擦れる音だけだ。 この先には、貧しいながらも暖かい我が家が待っているはすだ。 「ゆ? ここがおにいさんのおうち?」 足を止め、ズボンのポケットから鍵を取り出す。 このドアの向こう側は、どれだけの暖かさを与えてくれるのだろう。 想像するだけで、寒く辛かった道のりも全て癒される気がした。 「きにいったよ! ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 私は鍵を取り出す手を止め、足元に視線を移した。 ■強欲 「ゆぶげっ!」 振り下ろした足の下で、潰れたバレーボールのようなものが悲鳴を上げる。 悲鳴に合わせて、黒髪と赤いリボンがわさわさと蠢いていた。 想像以上に心地良い弾力が、足の裏から伝わってくる。 私は、力を抜いたり入れたりを何度も何度も繰り返した。 「ゆぶっ! ゆびっ! ゆぶっ!」 バレーボールが、歪な変形を繰り返す。 寒さも忘れてしまいそうなほど、私はその行為に熱中した。 「い、いたいよ! いますぐやめてね!」 私はハッとなり、コンビニ袋に目をやった。 とんでもない失敗に気が付いたのだ。 貴重な時間を使い過ぎてしまったことに。 慌てて袋から中身を取り出す。 手に取ると同時に、私はひどく安堵した。 「ゆゆっ! あんまんさんだよ!」 暖かさが保たれていたことに、心から感謝する。 かすかな湯気を放つあんまんが、輝いて見えるかのようだ。 「はやくちょうだいね! たくさんでいいよ!」 それは、とても感動的な暖かさだった。 寒さにかじかんだ指は思うように動かない事を忘却するほどに。 「ゆ!」 柔らかい、とても柔らかい音と共に、あんまんが地面に接する。 一瞬の油断が命取り、と語ったのはどこの誰だっただろう? なんの打開策にもならないことを悩むほどに、私は激しく動揺していた。 「むーしゃむーしゃ!」 心が平静を取り戻す頃には、全てが終わっていた。 落下したあんまんは、跡形も無くなっていたのだ。 「おかわりちょうだいね! ぜんぜんたりないよ!」 私はしばし、思慮にふける。 無くなってしまったものは、もう戻ってはこない。 ならばこの状況、私が取れる最善とは一体なんなのだろうか? 答えは、思いのほか簡単に導き出された。 あんまんは、無くなったわけではなかったのだ。 「あと、あまあまちょうだいね! ゆっくりぷれいすもちょうだいね!」 あんまんは、この中にある。 「ゆゆっ! おそらをとんでるみたい!」 両の手で、頬のあたりをしっかりと掴み持ち上げる。 指の先まで強い意志を込め、決して落とさないように。 「れいむとんでる! おそらもれいむのものだよ!」 頬を紅潮させ、だらしなく涎を垂らすバレーボールと向き合う。 目を背けたくなるような光景だが、これもあんまんのためだ。 私は、ゆっくりと掴む力を強くしていく。 「ゆんゆゆ~♪ ……ゆっ? ちょっといたいよ!」 力を込めたことで、わすかでも体温が上がったのだろうか。 かじかんでいたはずの指も、自由に動かせるようになってきた。 私はゆっくりと、両の手を左右に広げてゆく。 「いたいっ! ちぎれちゃう!」 ミチ……ミチ……という音が、指のあたりから聞こえてきた。 バレーボールの頬に亀裂が入り、薄っすらと黒い餡子が見え始める。 ほんの少し前まで笑顔に満ちていたものは、もう見る影もなかった。 横幅は2、3倍に引き伸び、どんな表情なのか判別できなくなっている。 どれほど出来の良い福笑いでも、ここまで面白い顔にはならないだろう。 「やめてね! やめてね!」 この状態でも言葉を発っせられることに、ほんの少しだけ感心する。 私は敬意を表して、左右へ引く力を更に強くした。 「ゆ、ゆんやあぁ~っ!」 頬だけではなく、身体のあちこちに亀裂が入り始める。 最初は滲む程度だった餡子も、亀裂から漏れ落ちて床に染みを作っていた。 大変見苦しいので、足の裏で丹念に踏みにじる。 「れいむのあんこさん、ふまないでね!」 他人の所有物、誰の所有物でもないもの、何もかも全て。 どれだけの物を欲すれば、気が済むのだろう。 あんまんも自分のもの、家も自分のもの、大空も自分のもの。 「もっと、ゆっくり……したかったぶぎゅ!」 自問自答をしているうちに、目前では餡子の花が咲き乱れていた。 床に飛び散る、餡子に混じった何か。 それはあんまんではなく、ただの生ゴミだった。 ■色欲 「ただいまー」 帰宅を告げながら、横着して手を使わずにつま先で靴を脱ぐ。 玄関を上がったあたりで、廊下の向こうからポヨンポヨンと間抜けな効果音が聞こえてきた。 「おにいさん、ゆっくりおかえり!」 金色の髪に黒い帽子を被った球体が、不敵な笑顔で飛び跳ねてくる。 あまりに激しく跳ねるものだから、帽子が徐々にずれてきているようだ。 「おい、そんなに跳ねると……」 「ゆゆっ!?」 案の定、帽子が床にずり落ちてしまった。 慌てて振り向き行方を追うが、ゆっくりは急に止まれない。 「まりさのすてきなおぼうしがぁー!」 「前見ろ、前」 ポヨヨン! 「ゆぴっ!」 見事、私の足元へ正面衝突だ。 大きな目に涙を一杯に溜め込み、仰向けに転がってしまう。 「ゆっぐ……えっぐ……」 コンビニ袋を床に置き、両手を使って元の体勢に直してやる。 瞬く間に、不敵な笑顔が戻ってくる。 「ゆっくりもどったよ!」 「ああ、よかったな」 「……ゆ!? まりさのすてきなおぼうしがないよ!?」 キョロキョロと、せわしなく左右を見回す。 落ちた帽子は遥か後方なので、いくら前方を探しても見つかるわけがない。 私は仕方なく帽子を取りに移動し、持ち主の元へ返してやる。 「ゆ! おぼうしさん、ゆっくりおかえり!」 よほど嬉しかったのか、鏡も無いのに身体をクネクネさせてモデル気取りだ。 満足げな顔を見届け、私は廊下の奥へ歩き出す。 玄関先の餡子の染みを思い出すと、少し気分が憂鬱になる。 しかし、放置しておいて虫でも集まられたらたまらない。 私は物置部屋に入り、掃除用具……箒に塵取りを取り出した。 「んほおおぉぉぉ!」 嬌声が響き渡ったのは、その瞬間だった。 「ゆんやああぁぁぁ!?」 掃除用具を手にしたまま、慌てて玄関へ戻る。 そこには、とても言い知れない光景が広がっていた。 「とっても、とかいはなまりさだわ! んほ! んほ!」 「やめてね、やめてね!」 嬌声の主は、金髪にカチューシャをつけた丸い球体だった。 何かの液体で濡れているのか、表面は妙な光沢を発している。 先程までクネクネしていたのは、モデル気取りの帽子の主だった。 しかし、今クネクネしているのは金髪カチューシャの方だ。 モデル気取りに押しかかり、腰のあたりを激しく動かしている。 生理的な嫌悪が、身体をかけずる。 反射的に、手にしていた箒を金髪カチューシャに振り下ろした。 「ゆぎぃ!?」 濁ったうめき声を上げて、金髪カチューシャは動きを止めた。 ほんの、一瞬だけ。 「……ゆふ、ゆふんほほおぉ!」 「ゆんやぁー!?」 金髪カチューシャが、再び腰を動かし始める。 箒で叩いた部分が歪に凹んでいるのも、おかまいなしだ。 「くそっ! このっ!」 私は何度も何度も、箒を振り下ろす。 叩いた箇所から金髪カチューシャの皮が裂け、クリームが漏れてくる。 それでも、腰の動きを完全に止めることは出来なかった。 「きんもちいいぃぃぃ! まりさのまむまむ、さいこうだわああぁぁぁ!」 「す、すっきりしちゃう~!?」 気が付けば、涙と謎の液体で両者ともヌルヌルテカテカだ。 猶予が無さそうな状況に、私は覚悟を決めた。 「ゆぎゅっ!」 モデル気取りを足で踏みつけ、金髪カチューシャに両手を添える。 「いくわよまりさ、いく、いくうぅぅぅ!」 スポーン! 金髪カチューシャがモデル気取りから外れ、腰の突起物が露になった。 そのまま、玄関外へ放り投げる。 手のひらには、ねっとりとした最悪の感触が残っていた。 「すっきりいぃぃぃ!」 金髪カチューシャが嬌声を上げながら、放物線を描く。 腰の突起物からは、謎の液体を放出しながら。 「ゆぶっ!」 モデル気取りから足を離し、玄関外へ飛び出す。 金髪カチューシャは既に体勢を整え、起き上がろうとしていた。 「ぶっかけもよいけど、なかにもださせてねええぇぇぇ!?」 ご近所さんにとんでもない誤解を招きそうな絶叫に、私は顔をしかめる。 狭い玄関では躊躇していた分を取り返すべく、思い切り箒を振り上げた。 「こんやは、ねかさないわよおおぉぉ!」 渾身の力で、箒を叩きつける。 あまりの勢いに箒が折れてしまうのではないか、といわんばかりに。 「んほぶっ!」 盛大に謎の液体を撒き散らしながら、金髪カチューシャはやっと動かなくなった。 性欲の塊が、クリームの塊に変化したのだ。 私は目をつぶり、とても深い溜息を漏らす。 処理が終わった安堵感と、掃除対象が増えた無念感からくるものだった。 ■嫉妬 「ゆっぐ……えっぐ……」 モデル気取りも今は昔。 こんなに腹をぷっくりと膨らませては、引退も止む無しだろう。 「まりさ……にんっしんっ! しちゃった……」 いくらおさげで目元を抑えても、溢れる涙は止まらない。 膣外射精は避妊法じゃないから……などと説明した所で、慰めにもならないだろう。 掃除があるからと横着して、玄関ドアを開け放しにすべきではなかった。 私だって、通りすがりに絶世の美女がクネクネとポーズを取っていたら……。 ……いや、それでも突然レイプはしない。 そもそも、こいつは美女なのだろうか? 「ゆわぁ~あ。よく寝たよ!」 間延びした声に顔を向けると、廊下の奥からズリズリと球体が這いずってきた。 元モデルも気が付いたらしく、這いずる球体の方を見つめている。 球体の黒髪は寝癖だらけで、赤リボンも変な角度に曲がっているようだ。 三六〇度どこから見ても、完璧な寝起きである。 その腹のあたりは、元モデルに負けず劣らずぷっくりと膨れている。 「れ、れいむ……」 「ゆゆっ!? まりさ、なんなのそのおなか!」 寝癖リボンが、元モデルへ向かって物凄い勢いで跳ねてくる。 身篭っているとは思えないぐらいの跳ねっぷりだ。 鬼のようにつり上がった眉毛に、血走った目、歯茎むき出しの口元。 その表情は、とてもじゃないがゆっくりしたものとは程遠かった。 「これはね、れいぱ……」 「うわきしたんだね、まりさ!」 さすが耳が無いだけあって、聞く耳も持たない。 「ちがうよ! だからこれは、れいぱーに……」 「れいむというものがありながら!」 一方的に責め立てる寝癖リボン。 元モデルがあまりに忍びないので、私は助け船を出してやることにした。 「おい、これは事故で……」 「おにいさんはだまっててね!」 ドムン! 会心のトゥーキックが、寝癖リボンに鋭く決まった。 寝癖リボンが壁で反射しながら、廊下の奥へ飛んでゆく。 もしかしたら、風圧で寝癖も直るかもしれない。 「ど、どぼじでこんなことするの……」 「急にボールが来たんで、つい……」 前歯が何本が無くなっているようだが、大きな問題は無いだろう。 この程度は日常茶飯事なので、気にする必要はない。 「まぁ、こいつの話も聞いてやれよ」 「ゆ! いいわけなんてきかないよ!」 寝癖リボンの目前で、もう一度トゥーキックの体勢を取る。 「まりさ、ゆっくりせつめいしてね!」 平和的に示談が始まったようなので、あとは当人達に任せることする。 「れいぱーに、すっきりされたんだよ!」 「れいぱーなんて、どこにもいないよ!?」 「おにいさんが、せいっさいっしたんだよ!」 「てきとうなこといわないでね!」 「ほんとうだよ! ゆっくりしんじてね!」 「……でも、すっきりしたんでしょ!」 「すっきりしたよ!」 「きもちよかったんでしょ!?」 「そんなことないよ!」 「まりさのうわきもの! れいむのばーじんかえしてね!」 初めてのことを気にしているとは、思わなかった。 年中盛っているイメージがあったので、意外だったのだ。 「まりさだって、ばーじんだったんだよ!」 「ばーじんをれいぱーにあげるなんて、どういうことなの!?」 「あげたくてあげたんじゃないよ! ゆっくりりかいしてね!」 「ほんとうなの!? まりさからさそったんじゃないの!?」 「ひどいこといわないでね!」 「まりさは、いんらんだよ! めすぶたってよんであげるよ!」 「どぼじでそんなこというのー!?」 「れいむのいうことがきけないの!?」 「まりさのいうこともきいてよ!」 元モデルの顔は涙でグシャグシャになり、確かに豚顔のようにも見える。 しかし、あまりにあまりなやり取りである。 「あのな……」 思わず口を挟むと、寝癖リボンが般若のような顔で見上げてきた。 目は血走り、口元からは涎が吹き出している。 「じじぃはだまっててね!」 「おい、話を聞けよ」 寝癖リボンは鼻も無いのに鼻息荒く、元モデルに向き直る。 「もう、はなしてもむだだね!」 「ゆんやぁー!」 「ゲスなまりさは、せいっさいっしてやるよ!」 寝癖リボンが飛び上がり、空中に浮かぶ。 「ゆっくりしね!」 ドムン! 会心のボレーキックが、寝癖リボンに鋭く決まった。 廊下の一番奥まで吹っ飛び、壁に激突してずり落ちる。 気絶してしまったのか、ピクリとも動かない。 餡子を少し吐いているようだが、あの程度なら命に別状はない。 後でオレンジジュースでもかけてやれば、寝癖も一緒に直るだろう。 元モデルの方を見ると、いつもの不敵な笑顔に戻っていた。 膨らんだ腹のせいかもしれないが、踏ん反り返っているようにも見える。 「ゆふふ、いいきみだよ」 「……チッ」 元モデルの呟きに、眉をしかめて舌打ちする。 会心のキックが決まったというのに、不満げな気持ちが込み上がる。 掃除するものが増えたから……それだけが理由ではないような気がした。 ■怠惰 部屋の真ん中には、腹を大きく膨らませた饅頭が二つ鎮座していた。 「すーやすーや……すーやすーや……」 寝癖の直らない赤リボンの方は、熟睡を示す寝言を喋りながら夢の中だ。 ついさっきまで修羅場だったとは、とても思えない。 幸せそうな笑顔で、膨らんだ腹に両のもみあげを置いている。 生まれてくる赤ん坊の夢でも見ているのだろうか。 「まりさのかわいいおちびちゃん、ゆっくりうまれてね!」 元モデルの方も、すっかり母性に目覚めたようだ。 こちらも膨らんだ腹をおさげで擦り、満足げに微笑んでいる。 「というか、産むのか?」 元モデルの目前に座り込み、私は問いかけた。 強姦されて出来た子……多少でも葛藤はないのだろうか。 「かわいいまりさのおちびちゃんだから、きっとかわいいよ!」 「ああ、そう……」 問題は、もう一つあった。 寝癖リボンが身篭った時に、元モデルと約束を交わしていたのだ。 「しかし、そんな身体でコイツの面倒見られるのか?」 問いかけながら、寝癖リボンを指差す。 身篭ってからというもの、寝るか食ってるか二択の生活だ。 最近では、まともに動こうともしない。 だからこそ、元モデルが世話をする約束が必要だったのだ。 「まりさはにんっしんっしたんだよ!」 「知ってるよ」 「だから、おにいさんがれいむのめんどうをみてね!」 「断る」 「どぼじでそんなこというの!?」 子を産むことに反対こそしなかったが、これ以上手間をかける気もなかった。 当人達の望みなのだから、当人達で責任を取れと約束したはずだ。 「じゃあ、れいむはどうでもいいよ!」 「そうなのか」 「かわりに、まりさのめんどうをみてね!」 「断る」 「どぼじでそんなこというの!? まりさはだぶるまざーなんだよ!」 産まれた後のことも、頭が痛い。 倍の数を面倒見るつもりは毛頭無いが、わざわざ間引くのも面倒くさい。 「全部殺すか」 「こわいこといわないでね!」 情けない涙顔で見上げる元モデルの頭を、帽子越しに撫でてやる。 「ははは、半分冗談だ」 「ゆふー! びっくりしたよ!」 元モデルが嬉しそうに、餡子が一杯に詰まっているであろう腹をプルプルさせる。 ふと玄関にあんまんが置きっぱなしだったことを思い出し、立ち上がった。 「……ゆ? はんぶん?」 元モデルの呟きが背中越しに聞こえた気がしたが、私は無視して玄関へ向かった。 ■暴食 今度こそ玄関の戸締りを確認し、床のコンビニ袋に手を伸ばす。 部屋に戻ってみると、鎮座した二つの饅頭は仲良く寝息を立てていた。 元モデルも、寝るか食うかの二択生活になってしまったようだ。 私は目前に座り込み、コンビニ袋を床に置く。 あんまんを一つ取り出した所で、飲み物が無い事に気がついた。 台所へ向かおうと、立ち上がった瞬間……。 「……ゆゆっ!?」 熟睡していた筈の饅頭達が、カッを目を見開いた。 「あまあまだ!」 「はやくちょうだいね!」 一目散に、饅頭達がコンビニ袋へ向かう。 慌てて私も手を伸ばすが、一度立ち上がろうとしたために反応が遅れてしまった。 「がーさがーさ! がーさがーさ!」 「ゆゆゆっ! あまあまがあったよ!」 「むーしゃむーしゃ! むーしゃむーしゃ!」 「うめっ、これめっちゃうめっ!」 「しあわせーっ!」 透明度の低い袋なので、中の様子は良く見えない。 しかし、何が行われているのかは明確に予測できた。 思えば、寝癖リボンはともかく元モデルは身篭ったばかりだ。 懐妊祝いというわけではないが、今回は自由に食わせてやろう。 私はそんなことを考えながら、あらためてあんまんを頬張ろうとした。 「ゆびぃっ!?」 突然、コンビニ袋の中から悲鳴が聞こえてきた。 声だけでは、どちらの饅頭が発したものなのかはわからない。 「むーしゃむーしゃ、それなりー?」 「いたいよ! すぐにやめてね!」 コンビニ袋に手を差し込む。 しかし、どれがあんまんでどれがそれ以外なのか、感触だけでは分からなかった。 「このあんまんは、あまりおいしくないよ!」 「ひどいこといわないでね!」 「でもまりさはたべてあげるよ! ゆっくりかんしゃしてね!」 「ゆんやぁー! れいむのたまのはだがー!」 引っ張り出すのをあきらめて、コンビニ袋を逆さになるよう引っ張り上げる。 何かが引っかかっているのか、なかなか中身は出てこない。 「がーつがーつ! がーつがーつ!」 やがて、ポテポテッ! という音と共に、二つの球体が床に落ちる。 元モデルは無傷のようだが、寝癖リボンは重傷だった。 身体のあちらこちらが食いちぎられ、穴だらけになっている。 「ゆぐっ……れいむの……おちびちゃんが……」 寝癖リボンの腹が裂けて、漏れた餡子に混じって何かが見えた。 小さな目と口がついた、ピンポン玉のような塊だ。 寝癖リボンを掴み上げ、台所へ向かう。 流し台にそっと置いて、オレンジジュースをたっぷりと振り掛けた。 「ゆゆっ!? まりさのあまあまはどこ?」 声に背後を振り返る。 そこには、帽子を被った食欲の塊が、頬を紅潮させ満面の笑みを浮かべていた。 食欲の塊が、キョロキョロと周囲を見渡す。 よく見ると口元には餡子だけでなく、癖のついた黒髪が纏わり付いていた。 「お前、何してんだ……」 私の心に怒りや恐怖はなく、ただひたすらに呆れていた。 この食欲の塊は、自分と甘味以外の存在をこの世から打ち消していたのだ。 「ゆっ! あまあまだ!」 食欲の塊が、私が手にしていたオレンジジュースに顔を向ける。 そのつぶらで大きな瞳には、もう私の存在も映っていないのだろうか。 全くゆっくりしていない反応で、食欲の塊が手元向かって飛び跳ねてきた。 しかし私は手を避けることはせず、逆に振り下ろす。 「ゆびっ!?」 空中衝突した食欲の塊が勢いを失い、床に落下する。 「ゆうぅ……まりさはしんぐるまざーなんだよ!」 ……食欲の塊は、先刻確かに『ダブルマザー』と言ったはずだ。 強姦魔は、既に亡き者となっている。 ならば『シングルマザー』の方が正しいといえば正しいのだが……。 それを言い直したということは、つまり。 私の中の呆れが、嫌悪に変わってゆく。 最初はどうだか分からないが、少なくとも現時点では確信しての行動だったのだ。 「だから、えいようとらなきゃだめなんだよ!」 再び、食欲の塊が私へ向かって飛び込んできた。 「あと、あまあまちょうだいね!」 私は、オレンジジュースを持っていなかった方の腕を振り下ろした。 思いきり振りかぶり、渾身の力を込めて。 「ゆぶぎゅっ!?」 食欲の塊が床に叩きつけられ、歪に変形する。 私は行く末を見届けるまもなく、繰り返し拳を叩き込む。 「ぎゅぶっ!? やべちぇぶっ!?」 食欲の塊からは、既に意味不明の言葉しか聞こえなくなっていた。 もちもちだった肌は亀裂だらけになり、衝撃の度に餡子がばら撒かれる。 つぶらで大きな瞳があった場所も、不敵な笑みを浮かべる口元も。 もはや、何処にあったのか判別できない。 凄惨な光景とは裏腹に、不思議なほど私の心は落ち着いていた。 何度も拳を振り下ろしながら、他のことまで考える余裕さえあった。 後の掃除のこと、マンガの単行本を買い忘れたこと……。 ■憤怒 「どぼじで、いうことがきけないの!?」 寝癖リボンの怒声が響き渡る。 その目前では、ピンポン玉ほどの塊が目に涙を一杯に溜めこんでいた。 黒い帽子を目深に被り、小さな身体をプルプル震わせ俯いている。 まるで、今にも消えてなくなってしまいそうだ。 「まだ赤ん坊なんだから、仕方ないだろ」 私が横から声をかけると、寝癖リボンの眉毛がキリリ! とつり上がった。 小麦粉の補強跡を気にする素振りもなく、身体を大きく踏ん反りかえさせる。 「まったく、できのわるいおちびちゃんだよ!」 「だって……まりしゃ……まりしゃ……」 「くちごたえしないでね!」 寝癖リボンが身体を捻って、もみあげを振り回す。 ピンポン玉は弾き飛ばされ、テン、テン、と転がっていった。 「ゆぴぃ~! ゆっくちできない~っ!」 滝のような涙を流して、ピンポン玉が泣き叫ぶ。 それを見て寝癖リボンは、例によって鼻もないのに鼻息を荒くした。 「これは、あいのむちなんだよ! ゆっくりりかいしてね!」 「もうやじゃ~! ぴゃぴゃ、たしゅけちぇ~!」 父親を呼ぶ言葉を聞いて、寝癖リボンの身体が朱に染まってゆく。 ピンポン玉の目前まで跳ねてゆくと、大きく息を吸い込んだ。 「あんなゲス、ぱぱじゃないよ! ぷくーっ!」 「ゆんやぁ~っ!?」 人差し指を伸ばし、寝癖リボンの頬を突く。 「ぷしゅるるるる!」 口から空気が抜けたことが、万人に分かるよう宣言される。 私は寝癖リボンの頭に手を置き、顔をこちらに向かせた。 「それぐらいにしろよ」 「お、おにいさん……」 オレンジジュースの効果は絶大だったらしく、親子饅頭は見事息を吹き返した。 減っていた餡子は食欲の塊だったものから拝借したが、特に問題もないようだ。 一刻も経たないうちに、こうして言い合うほどに元気になるとは思わなかったが。 今さらだが、つくづく不思議なナマモノだ。 しかし、余程に元モデルとの出来事が腹に据えかねたらしい。 寝癖リボンはピンポン玉の一挙一動に難癖を付け、説教と体罰を繰り返していた。 金髪に黒帽子で産まれてきたことも、気に食わないのだろう。 「あんなゲスにならないよう、れいむがきょういくしないとだめなんだよ!」 「まりしゃゲスじゃないよ!」 「だいたい、そのぼうしがきにくわないよ!」 「まりしゃのすてきなおぼうちさんは、ゆっくちできるよ!」 「かみのいろも、ゆっくりしてないよ!」 「しゃらしゃらのきんぱつしゃんは、ゆっくちできるよ!」 「そもそも、れいむにぜんぜんにてないよ!」 「まりしゃはまりしゃだよ! ゆっくちりかいしちぇね!」 しかし、聞けば聞くほど、どうしようもない理由ばかりだ。 「なまいきいうんじゃないよ!」 寝癖リボンの体当たりで、ピンポン玉が弾き飛ばされた。 再びテン、テン、と転がってゆく。 「い、いじゃい~! ゆっくちさせちぇよ~!」 「ゆん! やっぱりゲスのこはゲスだね!」 「どぼじでそんなこちょいうにょ~!?」 「またくちごたえしたね! もうゆるさないよ!」 私は溜息をつき、寝癖リボンの眼前に手を開く。 寝癖リボンは視界を塞がれ、動きを止めた。 「あんまん、もう一度買ってくるよ。マンガも買い忘れてたしな」 「あんみゃん?」 「おちびちゃんは、だまっててね!」 「ああ、とっても甘くて美味しいぞ」 「あみゃあみゃ! あみゃあみゃ!」 「ゆぐっ……」 「だから、おとなしく待ってるんだぞ」 私はできるだけ静かな口調で、語りかけた。 寝癖リボンには手のひらで、ピンポン玉には指先で、頭を撫でてやる。 「わ、わかったよおにいさん……」 「はやくあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 嬉しそうにピョンピョン跳ねるピンポン玉を見て、寝癖リボンの眉間にしわが寄る。 あの食欲の塊への怒りが消えないのはわかるが、子供には罪は無い。 今日は一段と寝癖リボンのヒステリーが酷いが、根はのんびりした性格だ。 もう少し時間が経てば、きっと怒りも静まるだろう。 再び外に出るのは億劫だが、暖かいあんまんのため……いや、親子団欒のためだ。 そう信じて、私は家を後にした。 ■傲慢 「ただいまー」 私が帰宅を告げると、いつも最初に跳ねてきたのは黒帽子の元モデルだった。 今にして思えば、帰宅時は何かしら食い物を買ってきていた。 目的はそこだったのかと思うと、悲しくはないが情けない気持ちになる。 玄関を上がって廊下を歩く。 あんなに騒がしかった親子の喧噪も、全く聞こえなくなっていた。 疲れて、昼寝でも始めたのだろうか? 饅頭達が居るはずの部屋に入るべく、私はゆっくりとドアを開ける。 「おまた……せ……」 手にしていたコンビニ袋を、床に落としてしまう。 すぐに我に返り拾い直すが、何とも不思議な感覚だ。 こんなリアクションなんて、ドラマやマンガの中だけだと思っていたのに。 身体の力がスッと抜け、自分でも気付かぬうちに指を離していたのだ。 しかし、ショックを受けて……というのとは、少し違うようにも思えた。 心のどこかでは、この光景を予想できていたのかもしれない。 やはりこうなってしまったか、思ったとおりだ、という脱力感。 「むーちゃむーちゃ!」 寝癖リボンの姿は、どこにも見当たらなかった。 代わりに、赤いリボンと癖のついた黒髪が、餡子の海に広がっている。 その中心に佇む、なすび型に膨らんだ醜い何か。 一心不乱に咀嚼を繰り返すその姿は、新種のエイリアンか何かのようだ。 私に気づく様子もないエイリアンに、近づきしゃがみ込む。 「美味いか?」 「ゆゆっ?」 私を見ても逃げる様子もなく、悪びれた様子も無い。 「おいしくにゃいよ!」 エイリアンが、つぶらな瞳をキラキラさせる。 その顔には、親そっくりの不敵な笑みを浮かべていた。 「でもまりしゃはたべてあげるよ! ゆっくちかんしゃしちぇね!」 少しだけ周囲を見渡してから、あらためてエイリアンに向き直る。 「何をしたんだ?」 「ねてるすきに、りぼんをぼっしゅうっ! したんだよ!」 確かにあれは、ゆっくりにとってはかなり大事なものだ。 洗濯する度に暴れて大変だったことを思い出す。 赤ん坊の身体でよく外せたものだが、寝相の悪さで取れかかっていたのだろうか。 「そしちゃら、ごらんのありしゃまだよ!」 圧倒的に説明不足だが、周囲に散らばっている掃除用具や家具を見れば想像はついた。 リボンを探して暴れたあげく、掃除に使っていた箒やその他に追突したのだろう。 二次災害で更に色々と倒れ込み、見事潰れてしまったわけだ。 今日はすっかり、掃除三昧になってしまったな……。 そんなことを考えていると、エイリアンがじりじりと移動を開始した。 すぐ横にあった、一際大きく盛り上がった餡子の塊に向かっている。 「しょくごのうんどうをしゅるよ!」 エイリアンは、私の目の前で腰を降り始めた。 「んほおおぉぉぉぉ!」 強姦魔に犯された餡子を、治療に使ったためなのだろうか? エイリアンは何かに取り憑かれたかのように、餡子に腰を叩きつけている。 「にゃ、にゃんだか、きもちよくなってきちゃったよ!」 私は、それを尻目に掃除用具や家具を片付け始める。 「しゅっきり~っ!」 行為が終わったようだ。 片付けを中断し、あらためてエイリアンと向き合う。 「ゆゆっ! まりしゃにみとれてりゅの?」 「ゆっくりできたか?」 「もっと、ゆっくちさせちぇね!」 「まだ足りないのか」 「まりしゃは、せかいでいちばんゆっくちするんだよ!」 「親が死んだんだぞ?」 「まりしゃはゆっくちしてるよ!」 「部屋も、こんなに散らかってしまった」 「まりしゃがゆっくちできれば、それでいいよ! ゆっくちりかいしちぇね!」 私は、拳を握り締める。 「理解出来ねぇよ」 床に叩きつけた拳を中心に、餡子その他が激しく飛び散る。 「ゆぴぃっ! いちゃい、いちゃいよ!」 エイリアンは半身を失いながら、悲鳴を上げ続けていた。 裂けた所に皮が張り付き、餡子の流出は最小限に留まっている。 餡子が潤滑材となったのか、叩きつけられたエイリアンの身体が滑ったのだ。 「おいじじぃ! どりぇいにしてやるから、まりしゃをたしゅけちぇね!」 半身を奪った張本人に対して、救助の申し込みだ。 返事の代わりに、手のひらでエイリアンを持ち上げる。 「ゆゆっ! おそらをとんでるみちゃい!」 エイリアンは、あっという間に上機嫌になった。 痛みも忘れたのか、手の上でキョロキョロとせわしない。 自分の不幸に何の疑問も持たない、純粋無垢の笑顔が輝いている。 「やっぱりまりしゃは、とくべちゅなんだにぇ!」 空いた方の手を構える。 「かわいくっちぇ、ごめんにぇ!」 パン! と手を合わせる甲高い音が、餡子まみれの部屋に鳴り響いた。 隙間から流れ落ちる餡子も気にせず、私はそのまま合掌した。 何を拝むわけでも、なく。 ■贖罪 掃除が一通り終わった時に、私はやっとあんまんのことを思い出した。 コンビニ袋をテーブルに載せ、買い物してきたものを取り出してゆく。 あんまん、ジュース、マンガの単行本……。 そこで目が留まり、単行本の表紙を見つめる。 それは『七つの大罪』がストーリに絡んでいるマンガだった。 なぜか今日の出来事全てが、私の頭の中に蘇ってくる。 ――あらためて思えば、いつもそうだった。 ゆっくりの言動は単純だ。 ほぼ、どれかに当てはまる。 強欲・色欲・嫉妬・怠惰・暴食・憤怒・傲慢。 『ゆっくり』が示したもの。 『人間』を罪に導くと言われるもの。 それが、何を意味しているのか。 『ゆっくり』が『人間』に示しているものは、何なのか。 「………………」 答えを口にすることが出来なかった。 答えがあるかどうかさえも、分からなかった。 代わりに私は、あんまんを口にした。 あんまんは、すっかり冷え切っていた。 ‐‐‐‐‐‐‐‐過去作‐‐‐‐‐‐‐‐ ふたば系ゆっくりいじめ 776 ゆっくりたたき ふたば系ゆっくりいじめ 769 ゆっくり採集~つかまってごめんね!~ ふたば系ゆっくりいじめ 766 まりさがまりさだよ! ふたば系ゆっくりいじめ 761 ゆっくりした週末 ふたば系ゆっくりいじめ 755 まりさもみもみ ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓×5 希少種が持てはやされるのは、 ・高い知能(人間との力量の差を理解している) ・ゲス化しにくい餡統 ・物珍しさ(希少性) が由来だからだね。 動物でも「言う事を聞かない・部屋を散らかす・大声で鳴く・躾を守らない」のは嫌だろ? まぁそこで更に「自分>赤ちゃん>ルール>人間」であるゆっくりはペットには向かないな。 -- 2018-01-17 06 02 29 ↓間違えた。もう1つ下です -- 2016-02-21 11 41 12 ↓2うるさい -- 2016-02-21 11 40 27 ハガレンかなぁ。 -- 2012-03-19 17 24 47 クズがつぶれてすっきりー! 合掌なんてまるで神への祈りじゃないか 饅頭に神はいないが -- 2011-06-08 14 58 52 どいつもこいつも希少種希少種と… -- 2011-01-18 15 59 29 もうちょっと餡の良い奴等を買うべきだったねー お兄さん勉強するべきだよー -- 2010-11-04 14 19 22 通常種の中でもありすほど善悪で可愛差の出る種類はない -- 2010-09-14 21 35 02 基本種は絶対ダメだな。とくにででいぶとまりさ 虫唾が走る -- 2010-06-29 02 04 16 ゆっくり飼うなら、高くついても賢い希少種だな。 -- 2010-06-23 09 06 57
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<神戸・高3自殺>教頭を降格 校長は退職 高校3年の男子生徒のいじめ自殺事件が昨年7月にあった神戸市須磨区の私立高校が31日、 教頭を系列校の一般教諭に降格させるなど計5人の処分(4月1日付)を発表した。校長は責任をとって 31日付で退職した。校長と教頭は辞職を申し出ていたという。他に処分を受けたのは、 3年生の学年主任と、自殺した男子生徒の2、3年時の各担任、生徒指導部長で、いずれも訓戒(3月19日付)。 (毎日新聞)
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※虐めというか自滅 鼻血 「うおっ!?」 「せんせー!!タケちゃんが鼻血だしてるー!!」 一同騒然としタケちゃんと呼ばれた少年の周りに集まる。 先生、慧音も少年の元へ寄りその頬に手をあてる。 「大丈夫か?・・・ふむ、どうやら暑気にやられたのかな。」 熱を帯びているのは何も暑さのせいだけではないのだが、顔を赤くした少年は照れくさそうに顔を伏せるだけなのであった。 授業は一先ず中断。慧音は少年に連れ添い手洗い場へ、残された生徒達も一様に彼の心配をしているのであった。 そんな様子を窓から覗く影一つ。 「ゆっふーん・・・いいものみたよ!!」 その正体はゆっくりれいむ、大方寺子屋の生徒達に菓子の一つでもたかりに来ていたのだろうか。 彼女は一言呟くとくるりと踵を返し、森へと向かってぽよぽよと跳ね出したのであった。 「ずーり、ずーり・・・」 数分後、そこには顔面を木の幹に擦り付ける饅頭の姿があった。 痛みからかその目元に薄っすらと涙を浮かべ、しかしその反面口元はだらしなく歪み涎をじゅるじゅると垂れ流している。 「おきゃーちゃん、あのおねーちゃん にゃにちちぇりゅの?」 「こら!! めをあわせちゃいけないよ!! ゆっくりできなくなるよ!!」 側を通るゆっくり達もこの異様さに近寄りがたいものがあるらしく、餡子脳な彼女達に似つかわしくなく声も掛けずそそくさとその場を 後にするのであった。一方のれいむは悪態を突かれてもどこ吹く風やら、すっかり自身の頭の良さに酔いしれているのであった。 彼女の計画はこうである 1.鼻血出る 2.優しくされる 3.スイーツ(餡) 余りにも完璧すぎる計画。汚物をみるような目をしてるド饅頭共め、れいむに尽くすまで精々ゆっくりしていってね!! そうしてれいむの打ち込みは辺りが暗くなるまで続いた。それはもう凄まじいもので、木の皮がずる剥けになる程であった。 だが目的の鼻血は出ない。息をぜいぜい切らしながられいむはあることに気付いた。 「ゆゆ!? れいむにはおはながついてないよ!!?」 鼻が無いのに鼻血が出るはずも無い。もっとも血肉すら通ってないのだが。 「ぷ、ぷ、ぷ、ぷぴー!!!」 れいむの怒りが有頂天、真っ赤になった体内では餡子の温度がマッハである。 だがその思いが通じたのか、次の瞬間れいむの顔を一本の黒い筋が流れた。 「・・・ゆ? でたよ!! ついにやったよ!!」 体温が上がり緩んだ餡子が念願の鼻血?を流したのである。 こうなってしまえばこっちのもんだ。まずは手始めに冷たい目を向けたあの一家から見舞い品を巻き上げてやる。 その後は群れ一番カッコイイまりさに看病させよう。そしていい感じになった2人は次第に・・・。 「ゆっふっふ・・・ゆっはっは・・・ゆぁーっはっはぁ!!」 己が野望の達成に悪い笑いの三段活用を決める、しかしその時事件は起きた。 「ゆぁーっはっはっはっは『ブッパァァン』あ?」 顔一面に広がる生温い感覚と全身に広がっていく悪寒。 散々傷付けられた顔の皮膚は限界に達し、れいむが大きく仰け反った際についには決壊したのだ。 顔面からぬるぬると流れ出す餡子、その量は凄まじくもはや痛みを感じる余裕すら無い。 「うびいいいぃぃぃぃ!!?」 顔面を真っ黒にしながられいむは叫ぶ。手足の無いその体では傷を押さえることさえ叶わない。 「ゆゆ!?どうしたの!?」 「いったいなんのさわぎなの!?」 夜の戸張が降りているとはいえ、ここまでの大騒ぎがあっては自ずとゆっくり達は顔を集める。 そうして集まった先では地面に突っ伏す声の主の姿があった。 「どうしたの!? しっかりしてね!!」 「いったいなにがあったの!? れみりゃでもでたの!?」 皆が見つめる中、ゆっくりゆっくりとれいむは面を上げる。 固唾を呑んで見つめるゆっくり達、そして次の瞬間激震が走った。 「ばぶべべえええぇぇぇぇぇ!!!!!」 「「「ゆっぎゃあああああああああ!!!!???」」」 そこにあった顔はもはやゆっくりではなかった。 顔の中心から放射状に大きく裂けた皮膚、辺り一面に飛び散る餡子。 全身皺だらけで大きく歪み、大きく飛び出した2つの目玉はギョロギョロと独立した生物の如く忙しなく動く。 ゆっくりどころか人間が見たってショック死しかねないレベルである。 「ぼべばいいぃぃぃ、ばぁぶべぇべえええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 ぐじゅりぐじゅりと音を立てにじり寄るれいむ。本人は助けを求めているだけなのだが端から見たその姿は獲物を見つけた悪魔である。 歪んだ口の隙間から言葉にならない何かをひり出しながら必死に命乞いをする。だが掛けられた言葉は期待したものではなかった。 「こっちこないでええぇぇぇぇ!!?」 「まりさはおいしくないからたべないでねええええぇぇぇ!!!」 違う、そうじゃない!!れいむはただ優しくされたいだけなのに!! れいむがこんな目に会ってるのに何言ってるの!?馬鹿なの!?死ぬの!?さっさと手当てしろおおおおおお!!! 「ぅぼあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「むっきゃー!!!?? えれえれえれ・・・・」 「ぱちゅりー!!? おまえ、よくもぱちゅりーを!!!」 辺りを揺さぶるれいむの雄叫び、これに当てられついには1匹のぱちゅりーがショックの余り嘔吐しはじめた。 これに激昂したのはあの群れ一番カッコイイまりさである。彼女は大きくその身を屈め 「ゆらぁ!!!」 「ぼばっ!!!??」 全身をバネにした渾身の一撃をれいむの叩き込んだ。 その衝撃で間欠泉のように噴出す餡子。だがまだまだ悲劇は終わらない。 「ゆゆ!! こいつよわいよ!! みにくいだけでぜんぜんたいしたことないよ!!」 このまりさの一声で今まで怯えていたゆっくり達が一斉に動き出したのだ。 「かおだけなんだねー!! わかる、わかるよー!!」 ぼべっ 「このいなかもの!! さっさとこきょうにかえりなさい!!」 うびっ 「なんというみにくさ、おおきたないきたない」 「「「おお、ばっちぃばっちぃ」」」 ぶびゃぁっ 数分後、群れの皆にリンチを食らったれいむの命は風前の灯であった。 思い思いの制裁を加えたゆっくり達は、唾を吐き捨てながら今後の始末について相談しはじめた。 そんな折、天から救いの神が現れた。 「うっうー☆」 「「「れみりゃだあああああああ!!!」」」 さっきまでの威勢も何のその、蜘蛛の子の如くその身を散らすゆっくり達。後には傷ついたれいむだけが残された。 「うー、きったないまんじゅうなんだど~。」 そう言ってうつ伏せの饅頭を掴み上げるれみりゃ。面を上げたその顔はさっきよりも一層ひどいものになっていた。 「ばぶべべぶべべばびばぼおおおおおおおお!!!」 「うっぎゃああああああ!!!?? ざぐやああああああ!!!!!」 餡子をブビブビと噴出しながら礼を告げるれいむ。 だがれみりゃは思いも寄らぬびっくりフェイスに肝を潰し、れいむを投げ捨てると泣きながら脱兎の如く逃げ出したのであった。 こうして幸運にも命を繋いだれいむは、痛む体に鞭打ちじゅーりじゅーりと黒い筋を残し我が家へと向かったのであった。 1週間後 そこには元気に窓にへばりつくれいむの姿があった。 「リョウタ、鞄持ってやるよ。」 「リョウ!! 俺が雑巾がけしてやるからお前箒頼むわ!!」 リョウタと呼ばれる少年、その右腕は白い大きな三角巾で吊るされていた。 「ゆっふーん・・・いいものみたよ!!」 そうしてれいむは森に向かって跳ねていったのであった。 終わり 作者・ムクドリ(´-ω-`)の人 このSSに感想を付ける
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ゆっくり夢幻 第一夜 こんな夢を見た。 腕組をして枕もとに座っていると、あおむきに寝たゆっくりれいむが、静かな声でゆっくり死ぬよと言う。 れいむは赤いリボンを枕に敷いて、輪郭のやわらかな饅頭顔をその中に横たえている。 真っ白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、口の中は若干赤い。 とうてい死にそうには見えない。しかしれいむは静かな声で、もう死ぬよとはっきり言った。 自分もたしかにこれは死ぬなと思った。 そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗き込むようにして聞いてみた。 死んじゃうよ、と言いながら、れいむはぱっちりと眼を開けた。 勝気なうるおいのある眼で、長いまつげに包まれた中は、ただ一面に真黒であった。 その真黒なひとみの奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる。 自分は透きとおるほど深く見えるこの黒眼のつやを眺めて、これでも死ぬのかと思った。 それで、ねんごろに枕のそばへ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。 するとれいむは黒い眼を偉そうにみはったまま、やっぱり静かな声で、ゆっくりしたけっかがこれだよと云った。 じゃ、私の顔が見えるかいと一心に聞くと、ゆっくりみえているよと、反り返ってみせた。 自分は黙って、顔を枕から離した。腕組をしながら、どうしても死ぬのかなと思った。 しばらくして、れいむがまたこう云った。 「しんだられいむをうめてね! 大きなしんじゅ貝であなをほってね! そしておそらから落ちてくる星のかけらをおはかにおいてね! そしておはかのそばにゆっくりまっていてね! れいむはあいに来るよ!」 自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。 「お日さまがでて、お日さまがしずんで、それからお日さまが出て、またしずんで―― あかい日があっちからこっちへ、あっちからこっちへとおちていくうちに―― おにいさんはゆっくりまてる人?」 自分は黙ってうなずいた。れいむは静かな調子を一段張り上げて、 「ひゃくねん待っていてね!」と思い切った声で言った。 「ひゃくねんおはかでまっていてね! ゆっくりあいにくるよ!」 自分はただ待っていると答えた。 すると、黒いひとみのなかに鮮やかに見えた自分の姿が、ぼうっと崩れて来た。 静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、れいむの眼がぱちりと閉じた。 長いまつげの間から涙が頬へ垂れた。――もう死んでいた。 自分はそれから庭へ下りて、真珠貝で穴を掘った。真珠貝は大きな滑かな縁の鋭どい貝であった。 土をすくうたびに、貝の裏に月の光が差してきらきらした。湿った土の匂いもした。 穴はしばらくして掘れた。れいむをその中に入れた。 そうして柔らかい土を、上からそっと掛けた。掛けるたびに真珠貝の裏に月の光が差した。 それから星の破片の落ちたのを拾って来て、かろく土の上へ乗せた。星の破片は丸かった。 長い間大空を落ちている間に、角が取れて滑らかになったんだろうと思った。 抱き上げて土の上へ置くうちに、自分の胸と手が少し暖くなった。 自分は苔の上に坐った。 これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、腕組をして、丸い墓石を眺めていた。 そのうちに、れいむの言った通り日が東から出た。大きな赤い日であった。 それがまたれいむの云った通り、やがて西へ落ちた。赤いまんまでのっと落ちて行った。 一つと自分は勘定した。 しばらくするとまた唐紅(からくれない)の天道がのそりと上って来た。 そうして黙って沈んでしまった。二つとまた勘定した。 自分はこういう風に一つ二つと勘定して行くうちに、赤い日をいくつ見たか分らない。 勘定しても、勘定しても、しつくせないほど赤い日が頭の上を通り越して行った。 それでも百年がまだ来ない。 しまいには、苔の生えた丸い石を眺めて、自分はれいむにだまされたのではなかろうかと思い出した。 すると石の下から斜(はす)に自分の方へ向いて青い茎が伸びて来た。 見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。 と思うと、すらりと揺らぐ茎のいただきに、心もち首をかたむけていた細長い一輪のつぼみが、ふっくらとはなびらを開いた。 真ん丸な赤ん坊れいむが鼻の先でゆらゆらと揺れた。 そこへはるかの上から、ぽたりと露が落ちたので、れいむは自分の重みでふらふらと動いた。 自分は首を前へ出して冷たい露のしたたる、丸いれいむを齧った。 自分がれいむから顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、あかつきの星がたった一つ瞬いていた。 「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。 第三夜 こんな夢を見た。 赤ん坊まりさをおぶってる。たしかにまりさの子である。 ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰れて、盲饅頭になっている。 まりさが赤ちゃんの眼はいつ潰れたのと聞くと、ずっとむかしだよと答えた。 声は子供の声に相違ないが、言葉つきはまるで大人である。しかも対等だ。 左右は青田である。道は細い。鷺の影が時々闇に差す。 「たんぼへかかったね!!!」と背中で云った。 「ゆっ、どうしてわかるの?」と顔をうしろへ振り向けるようにして聞いたら、 「だってさぎさんが鳴いたよ!!!」と答えた。 すると鷺がはたして二声ほど鳴いた。 まりさは我が子ながら少し怖くなった。こんなものを背負っていては、この先どうなるか分からない。 どこかにゆっくり捨てようと向うを見ると闇の中に大きな森が見えた。 あそこならばと考え出す途端に、背中で、 「ゆゆん」と云う声がした。 「わらわないでね!」 子供は返事をしなかった。ただ 「おとーしゃん、まりちゃはおもい?」と聞いた。 「おもくないよ!」と答えると 「ゆっくりおもくなるよ!!!」と云った。 まりさは黙って森を目じるしにはねて行った。田の中の道が不規則にうねってなかなか思うように出られない。 しばらくすると二またになった。まりさは股の根に立って、ちょっと休んだ。 「いちがゆっくちたっているはずだよ!」と子ゆっくりが云った。 なるほど八寸角の石が腰ほどの高さに立っている。 表には左り日ケ窪、右堀田原とある。 闇だのに赤い字が明らかに見えた。赤い字はいもりの腹のような色であった。 「ゆっくちひだりへいっちぇね!」と子ゆっくりが命令した。 左を見るとさっきの森が闇の影を、高い空からまりさらの頭の上へなげかけていた。 まりさはちょっと躊躇した。 「えんりょちないでね!!!」と子ゆっくりがまた云った。 まりさは仕方なしに森の方へはね出した。 腹の中では、よくめくらのくせに何でも知ってるなと考えながら一筋道を森へ近づいてくると、背中で、「めきゅらはゆっくりふじゆうだね!」と云った。 「だからおんぶしてあげてるでしょおおおお!」 「ゆっ、おんぶありがちょうね! でもばかにしてりゅね! おやにまでばかにされちゃったよ!!!」 何だかいやになった。ゆっくりしないで森へ捨ててしまおうと思って急いだ。 「もうちょっといくとわかりゅよ!――ちょうどこんなよるだったよ!!!」 と背中でひとりごとのように云っている。 「ゆゆっ? なんのこと?」ときわどい声を出して聞いた。 「なんのことって、しってるでちょ!」と子ゆっくりはあざけるように答えた。 すると何だか知ってるような気がし出した。けれどもはっきりとは分からない。 ただこんな晩であったように思える。そうしてもう少し行けば分かるように思える。 分かっては大変だから、分からないうちに早く捨ててしまって、安心しなくってはならないように思える。 まりさはますます足を早めた。 雨はさっきから降っている。路はだんだん暗くなる。ほとんど夢中である。 ただ背中に小さい子まりさがくっついていて、その子ゆっくりがまりさの過去、現在、未来をことごとく照らして、寸分の事実も洩らさない鏡のように光っている。 しかもそれが自分の子である。そうして盲目である。まりさはたまらなくなった。 「ここだよ、ここだよ! ちょうどその杉のねもとだよ!!!」 雨の中で子ゆっくりの声ははっきり聞こえた。まりさは覚えず留まった。 いつしか森の中へ入っていた。一間ばかり先にある黒いものはたしかに子ゆっくりの云う通り杉の木と見えた。 「おとーしゃん! そのすぎの根のところだったね!!!」 「ゆっ、そうだよ!」と思わず答えてしまった。 「ぶんか五年たつどしだったね!!!」 なるほど文化五年辰年らしく思われた。 「おとーしゃんがまりちゃをころちたのは、いまからちょうどひゃくねんまえだね」 まりさはこの言葉を聞くや否や、今から百年前文化五年の辰年のこんな闇の晩に、この杉の根で、一人の子まりさを殺したと云う自覚が、忽然として頭の中に起った。 まりさはひとごろしだったんだねと始めて気がついた途端に、背中の子まりさが急に石地蔵のように重くなった。 第九夜 魔法の森中が何となくざわつき始めた。 今にもスペカバトルが起こりそうに見える。 焼け出された魔理沙が、夜昼となく、屋敷の周りを暴れまわると、それを夜昼となくアリスがひしめきながら追っかけているような心持ちがする。 それでいて森のうちはしんとして静かである。 巣には若い母れいむと子れいむがいる。父まりさはどこかへ行った。 まりさがどこかへ行ったのは、月の出ていない夜中であった。 巣の中でわらじをはいて、黒い頭巾をかぶって、裏口から出て行った。 その時母れいむのくわえていた雪洞(ぼんぼり)の灯が暗い闇に細長く射して、古い檜を照らした。 父まりさはそれきり帰って来なかった。 母れいむは毎日子れいむに「おとーさんは?」と聞いている。子れいむは何とも云わなかった。 しばらくしてから「あっち」と答えるようになった。 母れいむが「いつかえってくるかな!!!」と聞いてもやはり「あっち」と答えて笑っていた。 その時は母れいむも笑った。そうして「ゆっくりかえってくるよ!!!」と云う言葉を何べんとなく繰り返して教えた。 けれども子供は「ゆっくり」だけを覚えたのみである。 時々は「おとーさんはどこ?」と聞かれて「ゆっくち!」と答える事もあった。 夜になって、あたりが静まると、母れいむはリボンを締め直して、小枝を髪の間へ差して、子れいむを背中へ背負って、そっと巣から出て行く。 母れいむはいつでも素足だった。子れいむはこの饅頭の音を聞きながら母の背中で寝てしまう事もあった。 土塀の続いている涸れ川を西へくだって、だらだら坂を降り尽くすと、大きなイチョウがある。 このイチョウを目じるしに右に切れると、一丁ばかり奥に朱塗りの鳥居がある。 片側は田んぼで、片側は熊笹ばかりの中を鳥居まで来て、石段をぴょんぴょん登ると、暗い神社になる。 鳥居まで来て、それを潜り抜けて二十間ばかり敷石伝いに突き当ると、古い拝殿の前に出る。 ねずみ色に洗い出された賽銭箱の上に、大きな鈴の紐がぶら下がって昼間見ると、その鈴のそばに博麗神社と云う額がかかっている。 博の字が、ゆっくりした書体にできているのが面白い。 そのほかにもいろいろの呪符がある。 たいていは巫女の手にした呪符を、倒した妖怪の名前に添えたのが多い。 たまには帽子を納めたのもある。 鳥居をくぐるとたまに巫女が掃き掃除をしている。 石畳に饅頭肌の音がぴちゃぴちゃする。 それが拝殿の前でやむと、母れいむはまず鈴を鳴らしておいて、すぐにしゃがんでジャンプをする。 たいていはこの時フクロウが急に鳴かなくなる。 それから母れいむは一心不乱にまりさの無事を祈る。 母れいむの考えでは、まりさがゆっくりしたまりさであるから、ゆっくりの神の博麗へ、こうやって是非ない願をかけたら、ゆっくりかなうはずだと一途に思いつめている。 子れいむはよくこの鈴の音で眼をさまして、あたりを見ると真暗だものだから、急に背中で泣き出す事がある。 その時母れいむは、ゆっくりしていってねと叫びながら、背を振ってあやそうとする。 するとうまく泣きやむ事もある。 またますますはげしく泣き立てる事もある。 いずれにしても母れいむは容易に立たない。 一通りまりさの身の上を祈ってしまうと、今度はリボンを解いて、背中の子を前へ廻して、口にくわえて拝殿へのぼって行って、 「あかちゃん、ゆっくりまっていてね!!!」と自分の頬を子供の頬へすりつける。 そうしてリボンを長くして、子れいむを縛っておいて、その片端を拝殿の欄干にくくりつける。 それから二十間の敷石を往ったり来たりぴょんぴょんお百度を踏む。 拝殿にくくりつけられた子れいむは、暗闇の中で、リボンのゆるす限り、広縁の上を這)い廻っている。 そういう時は母れいむにとって、はなはだ楽な夜である。 けれども縛った子れいむにゆんゆん泣かれると、母れいむは気が気でない。 お百度の足が非常に早くなる。大変息が切れる。 仕方のない時は、中途で拝殿へ上がって来て、いろいろすりすりしておいて、またお百度を踏み直す事もある。 こういう風に、幾晩となく母れいむが気を揉んで、夜の目も寝ずに心配していた父まりさは、とくの昔にお兄さんのために虐殺されていたのである。 こんな悲しい話を、夢の中で母から聞いた。 (原案、漱石:夢十夜) ===================================================================== YT 過去作品 その他 エレベーターガール そ その他 変身 そ ゆっくりいじめ系27 幻想鉄道の動物対策 虐 機 霊夢×ゆっくり系2 博麗神社の酒造り 虐 料 その他 諸君私はゆっくりが好きだ そ 美鈴×ゆっくり系2 ほんめーりん×ゆっちゅりー甘甘水責め 虐 そ その他 FireYukkuri そ ゆっくりいじめ系187 終端速度 虐 家 無 永琳×ゆっくり系11 八意永琳のアルティメット・サイエンス 虐 そ ゆっくりいじめ系281 冬眠ゆっくりの子守唄 そ 環 性 家 ゆっくりいじめ系312 乙女よ、森はまだ早い 虐 性 無 ゆっくりいじめ系345 ゆっくり塊魂 虐 魔理沙×ゆっくり系4 ゆっくりの身の程 このSSに感想を付ける
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クリスマスは、十ゆん十色 9KB ギャグ 小ネタ 現代 ポールあきの肉まんシリーズ *イブに上げようと頑張ったよ!!! でも無理だったよ!!! だからあまあまちょうだいね!!! 飢餓に苦しむ発展途上国の子供たちを笑顔にできるぐらいでいいよ!!! *題名に十とかありますが、十も出ないです。 *今回は、本当に虐めがないですよ。ただし、愛ででもないです。 *ポールあきの過去作に出てきたキャラがけっこう出てきます。 クリスマス。 それは、毎年行われる行事の中でも、リア充が最高にハッスルし、非リア充が最も肩身の狭い思いをするイベントである。 そんな両極端な聖夜は、誰にだって平等に訪れる。 人間にも、ゆっくりにも。 餡子脳お兄さんと賽銭箱れいむの場合 一人と一匹は、お兄さんによって、ド派手なイルミネーションが飾り付けられた、ド明るい部屋の中で、ド小規模なパーティーを楽しんでいた。 本当は、友達も誘って、盛大なパーティーを計画していたお兄さんとれいむであったが、「帝王に愛などいらぬ。クリスマスなど滅びるがいい」と友人からは参加を断られてしまった。 それでも、パーティーは華やかなものとなった。 お酒の飲めないお兄さんは、葡萄ジュース、そこそこアルコールに強いれいむは、シャンパンで乾杯をして、楽しく歓談しながら料理をつついた。 れいむがオーブンの中に閉じ込められるなどして、文字通り命を賭けて作った七面鳥のローストと、お兄さんが意味も無く無駄にたくさん買ってきたクリスマスケーキを、二人して食べ終えたところでパーティーは御開きとなったのだが、お兄さんのテンションは、いまだ下がることを知らない。 それもそのはずだ。 何しろ、お兄さんが楽しみにしているイベントは、これから始まるのだから。 「れいむ! れいむ! 今年もサンタさんは、来てくれるかな!?」 「お兄さんは、いい子にしてたから大丈夫だよ。毎日おしごとをがんばってたし、家事のおてつだいもしてくれたよ。それに、お風呂にも、ちゃんとひとりでゆっくり入れるようになったんだから、サンタさんもきっと褒めてくれるよ」 このお兄さん、社会人になった今でも、サンタクロースの存在を信じているピュアな青年であった。 ただ、当然のことだが、サンタクロースが彼の元に訪れることはない。 サンタクロースからプレゼントを貰えるのは、子供だけなのだ。 当たり前と言えば当たり前の話である。 しかし、飼い主思いのれいむが傍にいる限り、お兄さんの幻想が壊れることなどありはしない。 プレゼントは、既に購入して、倉庫に隠してある。 お兄さんには、「倉庫には、怖いおばけさんがでるよ」と常日頃から言い含めてあるので、見つかる心配はない。 代わりに、お兄さんが倉庫に近寄らなくなってしまったが。 そして、良い子なお兄さんは、夜の九時になると眠ってしまい、翌朝の六時まで絶対に起きない。 こっそりと部屋に侵入するのも楽勝だ。 後は、電子辞書と睨めっこしながら作った英文のクリスマスカードと「罪袋仮面変身セット」を枕元に置いておけば、今年のクリスマスも無事に終了。 そうなるはずであった。 「よかったー! 世界で一番ゆっくりしたゆっくりのれいむがそう言ってくれるなら間違いないな!!! それにしても楽しみだなぁ!!! 『超合金 DXれみりゃザウルス』!!!」 「ゆう!!? ま、まってね、お兄さん……。お兄さんが欲しかったのは、『つみぶくろかめんへんしんせっと』じゃなかったの!?」 「ん? ああ!! それは、お小遣いを貯めて買うことにしたんだ!! あまり高価な物を頼んだら、サンタさんが可哀想だろ!!? 世界で一番ゆっくりした人間の俺は、気遣いも出来るのさ!!!」 ああ、その気遣い、もっと別の場所で発揮して欲しかったよ。 心の中でひっそりとつぶやいたれいむは、お兄さんが書いていた「サンタさんへの手紙」を読まなかった二週間前の自分を呪った。 こうして、どうにかして『超合金 DXれみりゃザウルス』を入手しようと頑張るれいむの、眠れないクリスマス・イブが始まるのであった。 野良まりさと虐待お兄さんの場合 「ヒャッハー。聖夜だけど虐待だー」 「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!! ぎゃくたいおにいさんは、ゆっくりできないぃぃぃぃぃぃぃ!!! ……ゆぅ?」 人気のない公園で、薄汚れた野良まりさが、モヒカン頭の世紀末虐待お兄さんに虐められている。 そんないつもの日常風景かと思いきや、どうやら様子がおかしい。 虐待お兄さんの台詞に覇気、分かりやすく言うと「!」がない。 トレードマークの長大なモヒカンも、どこかくたびれていた。 「ゆう……。どうしたのにんげんさん!? げんきがないよ!? ぎゃくたいされるのは、いやだよ!!! でも、げんきのないにんげんさんにぎゃくたいされるのは、もっといやだよ!!!」 虐待対象のまりさからも心配される始末であった。 「ああ……。なんかさ。俺、何やってんだろうと思ってな。クリスマスに恋人もおらず、友達と騒ぐでもなく……。はっ、ははは!!! そう…だよな!!! プロ虐待士なんて仕事してる俺が、幸せな聖夜を過ごせるわけないんだよな!!! はははははっ……。笑えよ! 笑ってくれよ!!!」 まりさには、その場に跪いて涙を流す虐待お兄さんがとても小さく見えた。 自分よりも、何倍も大きな体を持った人間。 いつも、仲間たちにゆっくりできないことをする人間。 そんなゆっくりできない人間に、ゆっくりしてもらいたい。 普段なら願うはずもない、おかしな願いだが、そのときのまりさは切にそう願っていた。 「おにいさん、げんきだしてね!!! ひとりがさびしいなら、まりさとゆっくりしようよ!!! まりさをいじめたいなら、いじめてもいいよ!!! おなかへったなら、ちょっとだけかじってもいいよ!!! だから、ゆっくりげんきになってね!!!」 「……へ………へへ…………。野良饅頭、お前…いいやつだな。よし!! 今日は、虐待なんて止めだ!! 明日の朝まで、一緒に飲み明かそうぜ!!」 そう叫んだお兄さんは、まりさをむんずっと引っ掴むと、愛車のハーレーに乗って公園から去っていった。 バイクの上で、「「ひゃっはー、さかもりだー!!!」」と叫ぶ一人と一匹は、本当に楽しそうであった。 それは、聖夜に起きたちょっとした奇跡だったのかもしれない。 その後、酔っ払った虐待お兄さんは、嫌がるまりさに無理矢理チョメチョメして、見事に変態お兄さんへとジョブチェンジしてしまうのだが、それは些細なことである。 孤高のメイキャッパー・チルノフの場合 ここは、某国の紛争地帯。 そこでは、クリスマスもへったくれもない。 今日も今日とて、ベースキャンプには、ひっきりなしに死体が担ぎ込まれて来る。 その死体が腐らないように冷凍処理し、さらにメイクを施すという、ほとんどエンバーミングのような処置を行うのがチルノフの仕事であった。 死体に化粧などという、一見無駄としか思えないような行為であるが、これには重要な意味がある。 勇壮に彩られたかつて仲間であった者たちの死体は、残された兵隊の士気を高め、紛争を早期に終結させることができる。 少なくとも、彼女の技術には、それだけの力があった。 「ミス・チルノフー。あたらしいしたいだよー」 「……おうどんたべたい」 ゆっくりおりんが、アンパンマンに新しい顔を持ってくるバタコさんのノリで、全身の皮が焼け爛れた新鮮な死体のローストを運んできた。 また仕事が増えて気が滅入るが、文句など言わない。 黙々と正確無比な仕事を行う彼女であったが、たった一つだけ心配事があった。 日本にいるクリスマス嫌いな友人たちが、また馬鹿なことをしていないだろうか……。 それだけが心配でならなかった。 肉まんと愉快な仲間たちの場合 「帝王に!!!」 「愛などいらぬ!!!」 聖帝お兄さんの言葉に合わせて、お師さんまっちょりーが唱和する。 「クリスマスなど!!!」 「滅びるがいい!!!」 続くのは、ペットショップ店員の胴付きさくやさん。 「リア充ども!!!」 「ばくはつしろだどぅ!!!」 最後を、お兄さんの飼いゆっくりである胴付きれみりゃが締めくくることで、その夜会は開催された。 飾りどころかまともな照明すら存在しない薄暗い密室で、一人と三匹は、蝋燭が鎮座したちゃぶ台を囲って正座していた。 当然だが、そこに七面鳥やクリスマスケーキなどといったハイカラな食い物など存在しない。 唯一の光源である蝋燭の周りには、豚足が堆く積まれた皿と日本酒が満たされた一升瓶、そして土鍋がセットされたカセットコンロが設置されていた。 煮えたぎる鍋の中身は、各々が適当に持ち寄った"何か"である。 ナイフ、毒入りクラッカー、恋空、何の罪もないゆっくりのカップル……などなど、数十種類もの素材がブレンドされた出汁からは、甘い香りとともに、時折 「めちゃくちゃいたくないよ!!! めちゃくちゃいたくないよ!!!」 という呻き声が聞こえてくる。 そんな鍋を無視して、ガツガツ、モシャモシャと豚足を喰らう一同であったが、豚足の山が半分を切った当たりで、唐突にお兄さんが手を止めて笑い出した。 「くっふっふっふ……。はーはっはっはっは!!! 何がクリスマスイブだ! 何が性夜だ! イベントに託けてヤリたいだけのチャラ男にビッチ共め!!! 貞淑を美徳とする大和民族が異国の祭りにうつつをぬかすなど、ちゃんちゃらおかしいわ!!!」 「そうですわ!!! カップルなんて、大人しく家に引篭もって、鬼畜難易度の改造マリオでもやっていればいいのです!!!」 そう言うお兄さんは、育ちも国籍も日本なのだが、彫りの深い顔立ちに金髪という身体特徴は、どう見ても外人にしか見えない。 お兄さんの言葉に賛同するさくやさんにいたっては、もはや人間ですらなく、ゆっくりである。 「うー、うー♪ 『やかい』は、なんだかエキゾチックなふいんきがして、とっても楽しいんだどぅ!!!」 一方、れみりゃはというと、お兄さんたちが放つ瘴気で饅頭の中身をやられたのか、激しく尻を振り、うーうー言いながらひげダンスを踊っていた。 「うっうー、うあうあ♪ お兄さんたちも、れみぃといっしょにレッツ・ダンスィングだどぅ!!! ひげダンスは、ゆっくりできるんだどぅ!!!」 どうやら、本当にひげダンスだったようだ。 「ほう、面白い……。ならば、『聖帝ひげダンス』を披露してやろうではないか」 「お、おぜうさま……。なんと愛らしい……」 そのひげダンスに、目の据わったお兄さんと、鼻プリンを垂れ流すさくやさんが加わることで、場の空気は益々混沌としたものになり、一同のテンションは更にヒートアップする。 おそらく、この馬鹿どもは、朝まで踊り続けるのだろう。 ところで、この状況。 ゆっくりとのお付き合いを真剣に考えたことのあるお兄さんにとっては、まさにハーレム状態である。 その事実に気づいているのは、苦笑いしつつ、十二本目の豚足に手をつけるお師さんのみであった。 聖なる夜は、深々と更けて行く。 小さな命の数だけ、小さな物語を作って。 あとがき どうも、数週間前に、myPCがクラッシュして、ネカフェでSS書いてるポールあきです。 久々に、wikiを覗いたところ、儚いあきさんが前作の挿絵を描いてくださっていたことを知り、思わず嬉しーしーっぽいものを出しそうになりました。 こういったお礼は、どこで行うのが最善なのか、いまいち見当がつかなかったので文末になりましたが、この場を借りてお礼申し上げます。 本当に、ありがとうございました。 ところで、ポールあきは、自他共に認める非リア充ですが、クリスマスとかどうでもいいです。 それよりも、今住んでいるアパートの問題の方がやばいのです。 室内温度の方が、外気温よりも低いってどういうことなのぉぉぉぉぉぉ!!!? わがらないよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!! 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 394 お兄さんと冷めた肉饅 ふたば系ゆっくりいじめ 408 お前もポールさんみたいにしてやろうか!? ふたば系ゆっくりいじめ 442 肉まんと出かけよう 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 491 肉まんと出かけよう 完全版 ふたば系ゆっくりいじめ 501 ゆっくりしたモノの義務 ふたば系ゆっくりいじめ 547 変わらない トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 相変わらず賽銭箱れいむは高性能だなw -- 2013-10-31 02 15 10 面白いと思うけどなぁ -- 2011-07-19 23 59 02 野良魔理沙嫁にしちゃダメかな? -- 2011-04-25 02 30 23 話に起伏が無いSSってのは思った以上に味気無くてつまらないものだな。 -- 2010-09-12 01 47 26 愛でと言うよりむしろお兄さん虐めな気がする -- 2010-08-03 19 51 41 『 ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKI 』 とタイトルにあるからここは虐待専門です! 愛で・ギャグetc は不純物です!!! ………って虐待派は主張してます。 色々なのがあっていいと思うんだけどな。 -- 2010-07-26 22 12 31 つまらん なんで虐スレにこういうの載せるわけ? 一応ここは愛でもありなんだよ、トップページを見てみるといい あとこのページの一番上にも虐めじゃないって書いてあるだろう 作品を読む前に一度作者の注意も読んどいたほうが不愉快な思いをせずに済むよ -- 2010-07-26 22 04 32 れみりゃ・さくやが幸せだったらそれでおなかいっぱい。 素晴らしい。れみりゃ大好き。もっと書いてね!たくさんでいいよ!!! -- 2010-07-26 18 34 24 つまらん なんで虐スレにこういうの載せるわけ? -- 2010-07-26 12 16 15 いい話でした さくや、れみりゃ、むき・・じゃない、むっきゅりぱちゅりーと賑やかに鍋会してるんだから、聖帝お兄さん十分リア充だろうが!! 爆発!!しなくてもいいから一人くれ!! -- 2010-07-20 03 10 40 けっこういけたよ。聖帝お兄さんとれみりぁがすきだ -- 2010-06-20 07 24 09 つまんね -- 2010-06-11 05 54 10
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里からそう離れていない森の中、人一人分くらいの高さの小さな崖の斜面に不自然な穴を発見した。 崖下の地面の高さに洞窟のように開いているが、穴の高さはひざよりも低い。 申し訳程度に葉っぱが詰まれた入り口の内側には、葉のついた枝が何本も立てかけてあり、 枝の下には結構な数の石が置かれ、枝がずれたり倒れたりしないように固定している。 土の見える斜面にそこだけ葉っぱが敷かれているので、入り口こそバレバレであるが 枝の数はそれなりに多く、日中でも中は暗い為奥の方を覗き見ることが出来ない。 この様な偽装を行うのはゆっくり位なもの、間違いなくゆっくりの巣だろう。 耳を済ませてみるが、中からゆっくりの声は聞こえてこない。 内側から枝が立てかけてあるので、少なくとも中に1匹もゆっくりが居ないと言う事は無いはずだが、 1匹しかいないのか、パートナーに留守を任せて餌集めにでも出かけているのだろうか。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!」 巣穴の中に呼びかけてみると返事が返ってきた。在宅のようだ。 巣の中からぽよんぽよんとゆっくりの跳ねる音が聞こえ、 少しするとゆっくりの舌が入り口の枝を内側から外し始めた。 見つかって餌をたかられても困るので、すぐ側にある木の陰に移動し様子を見ると、 枝を外し終えた1匹のまりさがぽよんぽよんと巣から飛び出して来た。 先ほどの返事も1匹分しか帰って来ていないので、巣にはこのまりさしか居ないのだろう。 まりさは辺りをきょろきょろと見回すが、声の主は見当たらない。 首をかしげるかのように体を傾け、眉をひそめて「ゆ~?」とつぶやくとまた巣に戻って行った。 体を使って、巣から出るときに踏み散らかした葉っぱを出来るだけ元に戻し、 外した枝も舌を使って器用に立てかけて行く。 その作業はお世辞にも速いとは言えず、枝が元通りになるまで数分は掛かっている。 まりさが入り口を塞ぎきり、奥に跳ねていった所で巣の前に戻る。 見つからない相手を探すまりさの様子は滑稽なものだった。 もう一度呼び出せばまた見られるだろうか、再度呼びかけてみる事にする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆうっ?ゆっくりしていってね!」 すぐに木の陰に隠れると、再びまりさが跳ねてくる。ゆっくりにしては早く跳ねており 急いでいる事がわかるが、入り口の枝が多い為中々出て来れない。 しばらくして、少し息を切らしながら出てきたまりさはきょろきょろと声の主を探すが、 やはり木の陰に隠れている相手を見つける事が出来なかった。 「ゆーっ!なんなの?ゆっくりでてきてね!」 不機嫌そうに呼びかけるも一向に現れない相手に、まりさはぷくぅぅと頬を膨らませると巣に帰って行く。 何度も入り口を戻すのはゆっくりにとって楽な作業ではないが、それでも外敵に襲われるよりは良いのだろう、 もたもたとした動きではあるが、しっかりと入り口を封鎖して奥に戻って行った。 穴の中からは「ゆーっ!」と言う苛立ち気味な声と共に、ぽいんぽいんと饅頭が跳ねる音が聞こえて来る。 ストレスでも溜め込んでいるのだろうか、名前の割にゆっくりしていない生き物だ。 さすがに3度も同じセリフでは警戒されるかもしれないので、言葉を変えて呼びかける。 「ち────んぽっ!!」 「ゆうぅーっ!なんなの!?」 言うや否や、まりさは乱暴に跳ねながら入り口に向かい、枝を無理矢理引っこ抜いては投げ捨てて行く。 体を膨らませて威嚇状態のまま飛び出すが、またも姿を見せない声の主にまりさは声を張り上げた。 「かくれてないで、でてきてねっ!ゆっくりできないみょんはいたずらをやめてね!」 ちーんぽ、と言えばみょんなのだろう。居もしないみょんに対し威嚇を続けるが誰も現れない。 まりさは顔を真っ赤にして、「むぅぅーっ!」と地団駄を踏むように跳ね続けるが、 誰も出てこないとわかると再び巣に戻って行った。 入り口前の葉っぱには手をつける気も起こらず、乱暴に捨てた枝をおざなりに立てかけて奥に向かう。 未だに地団駄を踏んでいるのだろう、時折ぼいんぼいんと跳ねる音が聞こえる巣穴に4度声を掛けてみる。 「んほおーっ!まりじゃ!愛しいまりじゃ!二人で愛の金字塔を建立しましょうねーっ!!」 「ゆっくりじねっ!ありすとはゆっくりしないよ!」 さすがにありすでは無理か。しかも「ゆっくりできない」ではなく「ゆっくりしない」とまで言われた。 名乗らずともありすと断定されるあたり、ゆっくりの間でも変態キャラで通っているのかと関心するが、 今はありすよりまりさである。 鼻息荒く「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」と繰り返すまりさのプライドをくすぐってみる。 「まりさは全然ゆっくりしてないね!」 「ゆ…ゆがっ!?」 「ゆっくりしてないね!ゆっくりしてぬゎいねぇぇ~!」 「だまれぇぇっ!」 突然の指摘に頭に餡子が上ったまりさは、一刻も早く声の主を見つけようと入り口に突進し、 そのままの勢いで立てかけてあった枝に「ゆべっ!」と衝突してしまった。 反動で後ろにごろんと1回転するが、余計に怒りが高まったのか、八つ当たりするかのように 枝を固定する石を乱暴に蹴散らし、体当たりで枝を跳ね除けながら飛び出して来る。 「ゆふーっ、ゆふーっ!ゆっくりしないであやまってね!まりさはゆっくりしているよ!!」 息を切らし、全然ゆっくりしていない様子で、自分はゆっくりしていると主張するまりさ。 それでも現れない声の主に、じたばたと暴れながら泣き出してしまった。 「ゆぎいぃっ!なんでかくれ゛でるのお゛ぉぉぉ!?ゆっぐりさぜでよお゛ぉぉ! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁん!」 わんわんと泣いて、その場から動こうとしないので、足元にあった石をまりさの向こう側に放り投げる。 人間の居る方向とは反対側に着地した石の音に、まりさは音の主がそちらに居ると確信し、 「ゆゆっ!そっちにいるんだね!もうあやまってもゆるさないからね!」 と音のする方に跳ねていったが、居るはずの無い相手を見つけられるはずも無く 数分もするととぼとぼと帰ってきた。そのまま巣の入り口に入るが、葉っぱも枝も元に戻さず 巣の外側に振り返ってじっと動かない。 「もうおこったよ!ぜったいにみつけてやるからね!」 入り口を塞ぐ枝が邪魔で、巣の外に出るのに時間が掛かると気がついたようだが、 自分が姿を見せている事でいたずらの犯人が現れなくなるとは考えていないのだろう。 どうしたものかと辺りを確認したところ、遠くの木々の間にゆっくりれいむの姿を見つけた。 まりさの視界に入らないようにれいむに近づき声を掛ける。 「やあ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!にんげんさんはゆっくりできるひと?」 「ああ、ゆっくり出来るよ、とてもゆっくりできる方法を知ってるからね」 「ゆゆ?れいむにもおしえてね!れいむもゆっくりしたいよ!」 ゆっくり出来る方法に興味津々のれいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて催促してくる。 そのれいむを空中でキャッチし、遠くの穴の入り口で頬を膨らませているまりさを指差して見せてやる。 「ほら、あそこにまりさが居るだろ?あのまりさに元気良く挨拶すると とてもとてもゆっくりした巣に招待してくれるんだ」 「ゆゆっ!れいむもしょうたいされたい!」 「ああ、ゆっくりしておいで」 とれいむを放してやると、一直線にまりさの元に向かって行く。 程なくしてまりさの前に到着すると、そのまりさの後ろに巣穴が続いているのが見えた。 これが人間の言っていたゆっくり出来る巣なのだろう。期待が膨らんだれいむは、 いつも以上に元気な挨拶をまりさに贈った。 「ゆっくりしていってね!!」 「お…お…」 「ゆ?」 突然ぶるぶると震えだしたまりさに、れいむは首をかしげる。なんで巣に案内してくれないのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!!れいむをすにあんないしてね!」 「おまえかぁぁぁ!」 「ゆべえっ!」 目の前のれいむをいたずらの犯人と判断したまりさは、怒りに任せてれいむに突進した。 れいむの顔面の中央、鼻っ柱にあたる部分を突き上げるように自分の体をぶつけると、 後ろに突き飛ばされたれいむは痛みに顔を歪ませ、我慢できずに泣き出してしまう。 「ゆ゛うっ!?いだい゛い゛ぃ!な゛んでごんなごどずるの゛お゛ぉぉ!?」 「うるざい!ゆっくりできないれいむはゆっぐりじねぇぇ!」 相手がひるんだとみるや、まりさは大きく跳ねてれいむの頭上に飛び乗ると、 そのまま何度も跳ねてれいむを押しつぶし始めた。 「ゆ゛べっ!やめ゛っ!や゛め゛でっ!」 「ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!」 まりさが跳ねる度にれいむは口から餡子を吐き出し、やがて餡子が足りなくなったのか痙攣を始める。 このまま放っておけば死ぬだろう。もう十分と判断したまりさはれいむから飛び降り、 ゆひゅー、と満足げに息を吐いた。 「ゆっぐり…じだがっっだ…」 「まりさにいたずらしたけっかがこれだよ!れいむはあのよでゆっくりはんせいしてね!」 もう自分のゆっくりを邪魔する奴は居なくなったと、安心したまりさは意気揚々と巣に戻る。 荒れたままになっていた葉っぱを入り口の前に積みなおし、散らかした石を戻して 丁寧に枝を立てかけて行く。 これで安心と巣の奥に跳ねて行った所で、もう一度声を掛けてみた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆぅっ!?」 いたずらをするれいむは退治したはず。何が起こっているのかわからず混乱したまりさは、 またゆっくりと枝を外して飛び出したが、そこに居るのは先ほど踏み潰したれいむのみ。 れいむはもう、うめき声すら上げる事が出来ずにぷるぷると震えている。 「ゆ、ゆぅ…?」 自分が踏み潰した事で、れいむがもう死を待つだけの姿になっている。 さっきは夢中だったが、同族殺しを目撃されていたら自分も殺されてしまう。 「ま、まりさがわるいんじゃないよ、れいむがいたずらするからだよ!」 誰にともなく言い訳をしたまりさは、そそくさと巣に入って行く。 もたもたと枝を戻している間に、れいむの震えは止まり、まったく動かなくなった。 れいむの死体を掴み上げて、巣の入り口の枝の目の前に置いて声をかける。 「れいむを殺したまりさはゆっくり出来ないよ!」 「ゆ、ゆうっっ!?」 突然の指摘にまりさはパニックに陥る。誰かに目撃されていたのだろうか。 それでもれいむのいたずらを説明すれば許してもらえる、 そう判断したまりさは巣から出ずに説明を試みる。 「ま、まりさはわるくないよ!れいむが…」 「もうゆっくりさせないよ!れいむのお化けがまりさに会いに行くからね!」 「ゆひっ!?お、おばけはこないでね!おばけはあっちにいってね!」 化けて出ると聞いた途端、まりさはひどく怯えだした。 ゆっくりにも幽霊が出るって風習があるのだろうか。 「だめだよ、れいむはもうまりさの後ろまで来てるよ」 「ゆひいっ!!!」 まりさは顔面蒼白になって固まり、振り返る事が出来ない。 誰も居ないはずの後ろ側に気配を感じ、背筋に強烈な寒気が走る。 声が巣の外側から聞こえるのだがパニックになったまりさには正常な判断が出来ない。 「まりさぁー、れいむと一緒に地獄に行こうねぇぇ~っ」 「い゛やだぁぁぁぁっ!ゆっぐりざぜでぇぇー!」 れいむがお化けになって自分を殺しに来た。圧倒的な恐怖に支配され、 まりさは一刻も早く暗い巣穴から出ようと枝を外し始めるが、 恐怖で震えた舌ではうまく枝を掴む事が出来ない。 「ゆ゛っゆ゛ぅっ、だして!だしでっ!」 焦りながらもまりさは、枝を固定する石をどかして行く。 支えを失った多くの枝がばらばらと倒れると、目の前にれいむの死体が現れた。 「ゆぎゃぁぁぁ!なんでぇぇぇぇぇぇ!?」 自分の後ろに居ると言ったれいむが、いつの間にか巣の外へ先回りしていた。 逃げ場を失ったまりさは跳ねる事も出来ず、ずりずりと後ずさりする。 れいむの死体に目が釘付けになり、その後ろに居る人間には気付いていないようだ。 死体れいむの後頭部をわっしとつかみ、左右にがくがくと揺らしながら巣穴に押し込み、 ゆっくりとまりさに近づけて行く。 「ま゛~~~~り゛~~~~ざぁ~~~~!」 「………!!」 ゆっくりらしからぬ異常な動きで迫って来るれいむのお化けに、 恐怖が限界に達したまりさは白目を向いて気絶してしまった。 見ればあごにあたる部分から砂糖水を漏らしている。恐怖のあまり失禁までしたようだ。 死体のれいむを巣の中に残したまま、石を集めて巣穴の入り口を塞ぐように積み上げ 土や枝で石の隙間を埋めた。これをゆっくりが中からどかす事は出来ないだろう。 気絶から立ち直ったまりさが入り口を塞がれた真っ暗な巣穴で、 自分が殺したれいむと一緒だと知った時どんな顔をするだろうか。 これからのまりさの様子を確認する手段がないのが残念だが、 暫くしたら石をどかして中の様子を見る事にしようと、帰路についた。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶? (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子? (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身? (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子? (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌? (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾? (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体? (fuku2670.txt) お帽子の人? このSSに感想を付ける
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Can ゆー defend? 後編 30KB 虐待-普通 悲劇 理不尽 赤子・子供 現代 虐待人間 今までで一番長いです。 書いた人 ヤリまむあき 書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 703 ゆー具 ふたば系ゆっくりいじめ 708 売ゆん婦 ふたば系ゆっくりいじめ 717 売ゆん婦2 ふたば系ゆっくりいじめ 723 売ゆん婦3 ふたば系ゆっくりいじめ 730 ゆー具 鬼畜眼鏡編 ふたば系ゆっくりいじめ 772 情けはゆっくりの為ならず ふたば系ゆっくりいじめ 798 売ゆん婦4 ふたば系ゆっくりいじめ 867 Can ゆー defend? 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 960 Can ゆー defend? 中編 ふたば系ゆっくりいじめ 962 他ゆん事 『Can ゆー defend? 後編』 一、 地面に染み付いた黒い餡子となった子れいむ。 生前の愛らしい姿は土と混ざり、何処がどの部位だったか、最早皮以外区別がつかない。 まりさの耳には、子れいむのゆっくりできたおうた、そして死ぬ寸前の濁った声が残っていた。 (なんで? おちびちゃんのおうたはとってもかんどうできたのに、なんでにんげんさんはおちびちゃんをあんなひどいめにあわせたの? どうしておちびちゃんがころされなきゃいけないの?) どうしてあのおうたが少年達の心を揺さぶらなかったのか。 まりさなりに考えた結果、結論を出した。 「わかったよ……」 「分かった? 何が?」 顔を上げたまりさの顔は、理不尽に心優しい我が子を奪われた憎しみに染まっていた。 憎しみで相手が殺せたら、と思っているであろう。 「……にんげんさんたちは、どうしようもないげすなんだね!!」 「ゲス?」 「にんげんさんは、あんなにゆっくりしてたかわいいおちびちゃんがうたったとってもじょうずなおうたをきいたのに、もうひとりのおちびちゃんをはなしてくれなかったよ!! ありすにあやまらなかったよ!! それどころかおちびちゃんのおくちをちぎって、おちびちゃんがおうたをうたえないようにして、こ、ころしちゃったんだよ!! これがげすじゃなかったらいったいなんなのぉおおおおお!? どうみたってげすでしょぉおおおおおお!!!」 興奮しているせいで大変聞き取りにくい話だったが、内容を整理するとこういうことだ。 良心の呵責があるならば、あんなに感動的な歌を聴いておいて悔い改めない筈が無い。 すぐさま子れいむの要求を呑み、これまで一家や群れの仲間達に対しての罪を謝罪するのが当然だ。 それなのに少年達は、寛大にも彼等を許そうとした子れいむを惨殺した。 これが鬼畜の所業でなかったら一体なんだと言うのか。 一応、話の筋が通っていないというわけではない。 「ふうん、そんなこと考えてたんだ」 「わかったらおちびちゃんをかえしてよぉおおおおお!! できないでしょ!? ゆっくりはね、しんじゃったらずっとゆっくりしたままなんだよ!? おちびちゃんでもそんなことしってるのに、にんげんさんはわからなかったのぉおおお!?」 「れいむがぽんぽんをいためてうんだのにぃいいいい!!」 「れいみゅのおうたはすごかったんだよ!! あのおうたがもうきけにゃいなんて、しぇかいのそんしつだよ!!」 「ゆぇえええええええええん! おにぇーちゃぁああああん!!」 まりさ一家が拙いながらも死んだ子れいむの命の尊さを少年達に訴えかける。 人間にとってまりさ達ゆっくりの命など、羽のように軽いということにまだ気がついていないのだろうか。 「いや、俺達だって知ってたけど」 「しってておちびちゃんをころしたの!? だったら、にんげんさんはくずだよ!! あくまだよ!! ゆっくりでなしだよ!!」 「当然だ、ゆっくりじゃないからな」 少年達は、命が一度失われたら二度と戻らないことを理解していた。 理解してやったというなら、彼等は救いようの無い極悪人だ。 許してはおけない、しかし、先程自分の攻撃がまったく少年達に通用しなかった事を考えると、どうしても彼等に制裁を加えることに対し二の足を踏んでしまう。 そうなっては無駄死にだ。 (ごめんね、おちびちゃん。まもるっていったのに……。おちびちゃんのかたきもとれないまりさは、だめなおとうさんだよ……) こうなっては、できるだけ下手に出て残りの家族だけでも守るしかない。 腹に据えかねても、まりさは彼等に勝てないのだから。 「に、にんげんさん。まりさたちのだいじなかわいいかわいいおちびちゃんをころしたことは、ゆるしたくないけどゆるしてあげるよ」 「まりさ!?」 れいむがまりさの言葉に驚き声を荒げる。 「れいむはだまっててね! ……まりさだって、ほんとはこんなげすゆるしたくないけど、みんなをまもるためなんだよ!!」 「ゆぅ……」 全身の震えからまりさの苦渋が見て取れる。 屈辱や憎悪を押さえ込み、奥歯を噛み締めていた。 「だから、だからもうまりさたちにかまわないでほしいよ!! まりさたちは、ここでゆっくりしてただけなんだよ!! むしさんやおはなさんをたべて、しずかにくらしてただけだったんだよ!! にんげんさんにめいわくなんてかけてなかったよ!!」 事実上の敗北宣言だった。 「おとーしゃん、こんなのってないよ……」 子まりさは少年の掌の中で悔し涙を流す。 その感触は握っていた少年を不快にさせ、ほんの少しまた力が込められた。 「ゆぎいいいいいい!!」 「おちびちゃん!! まりさは、まりさたちにひどいことしないでっていったよ!! ゆるしたくないけどゆるしてあげるっていったよ!! だからさっさとおちびちゃんをはなしてね!!」 まりさ達からすれば認め難い条件を呑んでやるというのに、なぜこの人間達はまだおちびちゃんを解放しないのだろう。 そういう肝心な所で上から目線な態度が更に状況を悪化させているのに、それを止めようとしない。 「クロボウシ、お前の話には間違いがある。一つは、あのチビ赤リボンのおうたとやらが騒音だということを理解していないことだ」 別の少年が赤ゆ達に近づき、傍にいたれいむが反応できないほどの速度で彼女達を奪い去る。 気がついた時には、赤ちゃん達は少年の手の中にいた。 「「おしょりゃをとんでりゅみちゃい!!」」 「「おしょりゃをとんでりゅみちゃい!! ……ここきょわいよぉおおお!! おろしちぇええええ!!」」 急に高所に持ち上げられて視線の高さ驚き、状況も理解できず暢気に喜んでいる赤れいむ二匹に怯える赤まりさ二匹、危機感は赤まりさの方が強いようだ。 「あかちゃぁああああん!!」 「れいむのあかちゃんかえせぇえええええ!!」 これで子供達全員がゆん質にされてしまった。 それより、子れいむのおうたが雑音だというのはどういうことか。 ゆっくりしていない人間は芸術に対する感覚すら狂ってしまっているのかもしれない。 「あんなものが歌なら、それこそ鳥の鳴き声の方がましだぜ」 「にんげんさんのおみみはくさってるの!?」 まりさは子れいむの名誉のために少年に反論する。 あれは、確かにゆっくりできたおうただったのだから。 「じゃあ、お前等が言う上手な歌の基準はなんだ?」 「かわいいおちびちゃんがうたったおうたがへたなはずないでしょ!! とりさんなんかといっしょにしないでね!!!」 それはまりさ達にとっての確定事項。 多少親馬鹿の贔屓目もあるが、ゆっくりにとって自分達がゆっくりした生活をしているということは存在意義にも関わることで、おうたはいわば“文化”なのだから。 時々聞こえる鳥さんのおうたは、五月蝿いだけでちっともゆっくりできない。 「おもいっきり身内贔屓じゃん。それを言うなら、お前等ナマクビマンジュウごときが出す雑音と歌を混同するなよ」 少年は赤れいむの一匹の左右のもみあげをつまみ、振り子のように揺らし始める。 前後への運動を加えらることで赤れいむのもみあげには自身の全体重が掛かるが、双方のもみあげを掴んでいるので負荷は分散されすぐに千切れるほどではなく、長く悲鳴と痛みに耐える表情を楽しめる。 主にれいむ種とぱちゅりー種に使われる緩めの虐待方法だ。 「いぢゃいいいいいいっ!! れーみ゛ゅのもみあげしゃんちぎれちゃぅううううう!!! おにぇがいだからはにゃしちぇえええええ!!!」 「手、離してやってもいいけどさ。そしたらお前落ちるぞ? 痛いぞ? それでもいいって言うんなら離してやるけど」 赤れいむは尻をぷりんぷりんと振って痛がる。 自慢のゆっくりしたもみあげは、今や己を苦しめる枷となっているのだ。 そして、言われたように少年の手から落ちたらどうなるだろうか? (ちにちゃくにゃい!! れーみゅはおにぇーちゃんみちゃいにちにちゃくにゃいよ!!) 姉のように、ぐしゃぐしゃに潰れてしまうのだろう。 赤れいむも己の危機に気がつき、少年に命乞いをする。 「はにゃさにゃいでぇえええええ!! おちたりゃれーみゅちんじゃうよぉおおお!!」 「ほほう、ならばもっと強く、落ちないように引っ張ってやろう」 ぐいっ、とさらにもみあげが引っ張られる。 髪の根元が何本か抜ける感触がした。 「ゆびぃいいいいい!!」 「おお、いい声だ。お前、お姉ちゃんなんかよりよっぽど歌上手いんじゃね? 俺等はこっちの方が好みだぞ」 赤れいむの悲鳴は、少年達にとっての音楽。 少なくともおうたのような雑音より楽しめることは間違いない。 「いたがってるよ!! やめてあげてね!!!」 「あかちゃんがないてるでしょぉおおおおお!! それのどこがおうたなのぉおおおおお!?」 まりさとれいむの訴えは通じない。 やがて、耐久力の限界に達したもみあげが遂に音を立てて両方とも千切れた。 「ゆ゛ぅううっ!!!」 赤れいむは宙を舞う感覚を一瞬味わい、柔らかい背中から地面に落ちた。 ぺしゃっ、という軽い音だが、赤れいむにとっては体内の餡子が全て吐き出されそうなほどの衝撃である。 その口の端からは黒い餡子が流れ始めた。 子れいむのもみあげを持った少年は、まるでゴミのようにそれらを放り捨てる。 「あかちゃぁああああんっ!!! なおってね!! ゆっくりしないでなおってね!!」 まだ赤れいむには息がある、手遅れではない。 今度こそ可愛い子供を死なせるものか。 「れいむはあかちゃんをぺーろぺーろしてなおしてあげてね!! まりさはそっとあかちゃんをひっくりかえすよ!!」 「わかったよ!!」 少年達はまりさ達の行動を阻みはしない。 無力なゆっくりがどこまで希望を捨てずにいられるか楽しんでいるのだ。 それゆえまりさとれいむだけはあえて捕獲しておらず、自由に動けるようにしている。 一応ゆん質がいるのだから無謀な行動はしないだろうし、逃げたら逃げたで楽しめるのだ。 「まりさのあかちゃん!!! まりさがたすけてあげるからね!!!」 まりさ達には家族愛という概念があるのか、子供を見捨てるようなことはせずひたすら傷ついた赤ちゃんを助けようとしている。 親としてはそれでいいのかもしれないが、さっさと見捨てて逃げ出して、また新しい子供を作った方が生存率が高い。 どうしようもなく貧弱なナマモノとしては、自分達の能力を弁えていない間違った生き方だ。 「おちょー、しゃ、れーみゅ、いちゃい……」 「あかちゃん!! いたいのいたいのとんでけー、だよ!!!」 「ぺーろぺーろ!!! あかちゃんのせなかさんはゆっくりしてね!!!」 もみあげを失い、すっかりゆっくりできない風貌になった赤れいむ。 そんな子にも変わらぬ愛情を示すまりさ達。 「間違い二つ目。お前等ちっとも可愛くないから」 「ふざけたこといわないでね!! まりさとれいむのおちびちゃんたちはみんなかわいいんだよ!!!」 「ふーん。なら、今そこに転がってる汚いのは本当に可愛いのか?」 「「ゆっ!?」」 少年の問いに即答できなかったまりさとれいむ。 確かに、今の赤れいむはぼろぼろでとても可愛いとは言えない。 もみあげはなく、飾りも汚れてしまっている。 だがここで即座に否定しないということは、少年の言葉を認めてしまっているのと同義。 「……れーみゅ、きゃわいくにゃいにょ? ……れーみゅ、いらにゃいこにゃにょ?」 赤れいむは何も言わない両親に縋るような瞳を向ける。 ここで自分の存在を認められなかったらどうしようと、その瞳は不安で涙に濡れていた。 「そ、そんなことないよ!! ま、まりさのあかちゃんがかわいくないなんてことないよ!!」 「も、もみあげさんがなくてゆっくりできなくなっちゃったけど、それでもれいむのあかちゃんなんだよ!!」 「俺は、こいつが可愛いかどうかを聞いたんだ。もう一回聞くぞ、本当に可愛いのか?」 両親は必死に少ない語彙の中から言葉を捜し、場を取り繕おうとする。 だが、少年は灰色の回答を許さなかった。 あくまでも今の赤れいむが可愛いかそうでないかということだけを尋ねる。 「ゆぅ……」 「可愛くないとは言いたくない、けど、どう見ても可愛いとは言えないんだな。 よかったな、ちび赤リボン。お前が可愛くないことはお前のお父さん達のお墨付きだぞ。自分が可愛くない事が分かっただろ? そんなお前は、生きる価値が無いんだよ。りきゃいできりゅ?」 ストレートな悪意はそのまま赤れいむへの害となり、未熟な精神を傷つけた。 大好きな両親に自分の存在を肯定してもらえず、瞳からは生気が失われる。 生きようとする意志が感じられなくなり、 「あかちゃぁあああん!! おねんねしちゃだめだよ!! いまおねんねすると、ずっとゆっくりしちゃうんだよぉおおお!?」 赤れいむはゆっくりと瞼を閉じていく。 眠くてしょうがないのだ。 それに、さっきから背中から熱い何かが漏れ出していた。 「まりさ!!! おちびちゃんのあんこさんがとまってくれないよおおお!!!」 たたでさえ薄い赤ゆの皮は、衝撃ですっかり脆くなっていた。 そんな部分を懸命に舐めたらどうなるか、れいむは我が子を救おうと必死だったのだろうが、それは赤れいむの命を縮めるだけだった。 唾液が皮をふやけさせ、舌は皮を破ってしまったのである。 「れーみゅ、おねんね、しゅるにぇ……」 少しの間寝息を立てた後、赤れいむは静かに逝った。 その死に顔は、本来自分を優しく包み込んでくれる筈の両親から否定されたことによる諦観がはっきりと現れていた。 二、 赤れいむが死んだことを認められないまりさとれいむは、その亡骸の前で呆然としていた。 「こいつ等自分で子供に止め刺してやんの!」 「可哀想だねー」 何を言う、赤ちゃんに大怪我をさせたのはお前達じゃないか。 あんなに痛そうに泣いて、もみあげだってお前達が奪ったんじゃないか。 「ゆがぁあああああああああっ!! あかちゃんがしんだのはにんげんさんたちのせいでしょぉおおお!? まりさとれいむは、あかちゃんをたすけようとしただけだったのに!!」 肉体的な死因は主に少年達によるものだが、赤れいむが真に絶望したのは両親からの否定だったことをあくまでも理解しようとしない。 もう少し思い知らせてやる前に希望を与えてやろうと、少年達は子まりさを解放することにした。 「ほれ」 「ゆ? おとーしゃぁああああん! おかあしゃぁああああん! まりしゃこわかったよぉおおお!!」 そっと地面に降ろされた子まりさは、振り返ると両親の元に跳ねていった。 よほど怖かったのだろう。 「おちびちゃん! よしよし、よくがまんしたね!」 「おとーしゃん、れいみゅが、まりしゃのいもうとがぁああああ!!」 子れいむと赤れいむの死を悼む子まりさは、れいむのもみあげに撫でられながら嗚咽を漏らす。 自慢の俊足が敗れ、二人の妹達は殺されてしまった。 でも、絶対に人間には敵わないのだ。 純粋なスピードだけなら負けないのに。 「おい、小さいクロボウシ。ゲームをしよう」 「ま、まりしゃになんのようなにょ?」 「お前、俊足が自慢なんだってなぁ? だったらご自慢のスピードでこいつを助けてみろよ」 少年達の一人が子まりさを指名する。 その指先には、一緒に追いかけっこをして遊んだ妹の赤まりさが握られていた。 「おにぇーちゃぁあああん!! まりちゃをたちゅけちぇにぇえええええええ!!!」 「いもうとをいじめないでにぇ!! まりしゃにできることならするから、はやくたすけてあげてにぇ!!」 「まあまあ、話を聞けよ。ルールは簡単だ、こいつを落とす。それをお前が受け止めればこいつは返してやる。 でも、落ちる前にお前が受け止められなかったらそのまま地面に激突。単純だろ?」 子まりさは今度こそ自分の土俵で勝負できると思った。 なるほど、これなら勝敗を決めるのは純粋にスピードのみでそこに何らかの不正が介入する余地は無い。 人間の恐ろしいほどの力だって関係ないのだ、勝つ可能性は充分にある。 でも、もし間に合わなかったら妹は死んでしまうのではないか? 「ちなみに、勝負から逃げたらこいつはすぐ潰す。ゆっくりと、じわじわ苦しめて潰す」 「ゆぴぃ!?」 子まりさの逡巡を見抜いたかのようなタイミングで少年が話を続ける。 赤まりさは明確な処刑宣告に悲鳴を上げ、それが子まりさに決断をさせた。 「わかったよ! まりしゃ、やるよ!! にんげんしゃんにかっていもうとをとりもどすよ!!」 「そうこなっくっちゃ」 「おちびちゃん! まりさがかわるよ!!」 「駄目駄目、親の介入は禁止」 見かねたまりさが代わりに勝負を受けようとするが、それは不可能である。 これは、子まりさ自身が持つ“俊足”に対する自信をぶち壊すための遊び(ゲーム)なのだから。 「いいか、この線の後ろからスタートしろ」 「わかったよ!」 少年は地面にバットで一本の線を引き、スタートラインを作る。 そこと赤まりさの落下点と思われる場所はそう距離があるわけではなく、そんなに無茶な条件ではないと感じられた。 「俺が腕を振り上げたらスタートしていいぞ」 「かんたんだにぇ! にんげんしゃんに、こんどこそまりしゃのしゅんそくのしんかをみせてあげるよ!!」 子まりさは自信満々で、赤まりさにも笑顔を振り撒く。 「もうちょっとまっててにぇ! おねーちゃんのおぼうしさんでやさしくうけとめてあげりゅよ!!」 「ゆゆーん! おにぇーちゃんありがちょー!!」 赤まりさは大好きな姉に全幅の信頼を向け、自分が助かると疑ってすらいない。 「おちびちゃんならできるよ!」 「がんばってね! れいむたちがついてるよ!!」 まりさとれいむも、ゲームの条件が酷い物ではないと思ったのか、子まりさに全て任せる事にしたらしい。 自分達がしゃしゃり出て人間の機嫌を損ねたらいけないと判断したようだ。 「それじゃ、いくぞ」 少年が腕をゆっくりと振り被って赤まりさを自分の頭上まで持ち上げようとする。 赤まりさは先程よりさらに高くなった視界から見える世界に驚くが、これも姉が自分を助けてくれるまでの辛抱だと思って楽しむことにしたようだ。 (しゅっごくたかいにぇ!!) またスタートでの加速のために身体を曲げていた子まりさも、妹達をこ全ての方法で助け出してみせる、と考えていた。 自分が勝ったら人間さんは悔しがる筈、その後に挑発すれば、自分に有利なこのゲームを継続させる事ができる、と。 「ゆぅっ……!」 遂に少年の腕が頂上に達する。 それがスタートの合図となり、ほぼ同時に子まりさは走り出した。 フライングではなく、ほぼ完璧なスタート。 このまま順調に行けば、赤まりさが落ちてくる前に落下予測地点へと先回りできて悠々と妹を受け止められる。 だが、 「大地にっ、還れぇえええええええっ!!!」 「おしょりゃびゅっ!?」 少年は全力で赤まりさを握った腕を振り下ろし、彼女を落下予測地点へと寸分の狂いもなく投げた。 それは、もう投げるどころか叩きつけると言った方が正しかっただろう。 ゆっくり程度の反応速度では追いつくことすら許されず、赤まりさは地面に餡子色の花を咲かせ、数テンポ遅れてそこに到達した姉の顔にべったりと中身を付着させた。 風圧で、赤まりさのものだった帽子がやや離れた場所に落ちる。 「綺麗に弾けたな」 「ゆ? ま、まりしゃのいもうとは……?」 確かに妹は少年の手から離れた、それは分かっている。 なら、ここにいなくてはいけない赤まりさは一体何処に消えてしまったのか。 子まりさはきょろきょろと前後左右にせわしなく顔を向ける。 それは、赤まりさが潰れた瞬間を視認してしまったことを誤魔化す為の虚しい行為であった。 「あ、あかぢゃんがぁあああああ!?」 「ひどいぃいいいいい!! またしんじゃったよぉおおおおお!!!」 後ろから見守っていたまりさとれいむは、三匹めの我が子が殺されたことを嘆く。 両親の言葉を聞いた子まりさも、赤まりさが死んだことをようやく認めた。 「まりしゃは、しゅんそくで……。はやくて……。いもうともたすけて……」 自分の俊足は、肝心な時に何の役にも立たなかった。 なら、こんなあんよに何の意味があるのだろう。 妹一人すら救えない、こんなあんよに。 「何が俊足だよ。全然駄目じゃん」 「……ゆぐっ」 「そんなスピードでよく助けるだとか守るとか言えたもんだ、笑わせる」 「ゆぇええええええん!!!」 恥も外聞もなく、子まりさは泣き叫んだ。 信じていたものが、誇りが、思い上がりが打ち砕かれ、後には何も残らない。 「そんな役立たずな足は……」 「ゆえっ?」 少年の一人が子まりさを摘み上げると、そのあんよと顔の境目にハサミの刃を滑らせる。 「ゆひぃっ!!」 冷たい金属の感触は無機質な恐怖感を与えるものだった。 その刃にはクリームがついていてべとべとしており、子まりさの前にも誰かゆっくりがゆっくりできない目に遭わされたのだろうと分かってしまった。 そして、勢い良く刃は子まりさのあんよを切断する。 「ゆ゛ぎゃぁああああああっ!!!」 ざくっ、と小気味良い音がした後には、子まりさのあんよは体から離れていた。 「まりじゃの、まりじゃのがもじかのようなびぎゃぐがぁあああああ!!!」 己の命とお飾りと、同じくらい大切なあんよ。 それは永遠に子まりさから奪われた。 「いらないよなぁ?」 あんよは地面に投げ捨てられると、少年に踏まれ執拗なまでに磨り潰される。 よほどゆっくり風情に速さが足りないと侮辱されたことが頭にきたのだろう。 「まりざゆずりではんざむなおちびぢゃんの、ずまーどなあんよぐぅぁあああああ!!!」 「どぼじでごんなごどずるのぉおおおおお!?」 「勝負に負けたから罰ゲーム」 「そんなごどぎいでないよぉおおお!?」 「そりゃそうだ、今初めて言ったんだから」 両親の相手はほどほどに切り上げ、子まりさの餡子が零れ落ちないように地面に降ろす。 その際に、中身が直に地面と接触するような置き方をし、子まりさに苦痛を与える。 「い゛っ! い゛っ!!」 人間で言うなら、腰から下を切り落とされて臓器が露出したものを何の手当ても受けず、雑菌だらけの地面に置かれると言った方がその痛みの程度が伝わりやすいだろうか。 気が狂いそうな痛みが断続的に続き、今にも体を揺すって暴れたくなる衝動を必死に抑える子まりさ。 中身が失われたら、それは己の死に繋がることを本能的に分かっているのだろうか。 「でかいのに忠告するぞ。そいつ、下手に動かすと死ぬから」 「「ゆ゛うっ!?」」 まさに子まりさへと駆け出す寸前だった両親は、少年の忠告を聞いて思い止まる。 さっき赤れいむを過失によって死なせてしまったばかりなのだ。 「じゃあどうすれば……」 「放っておけば?」 自分がしておいて実に無責任なことを言う。 しかし、子まりさを少しでも長く現世に留めておきたいならば放っておく事が一番だった。 ゆっくりの治療などではかえってずっとゆっくりさせてしまうことになりかねないからだ。 ただ、それが本当に子まりさへの愛情になるかは疑問が残る。 一刻も早く楽にしてあげたほうが良いのかもしれない。 「そうそう、間違い三つ目。お前等、俺達に迷惑掛けてないって言ったな?」 「そ、そうだよ!! なのにどうしてこんな」 「生きてるだけで迷惑なんだよ。俺達だけじゃなくて、この地球上の生き物皆にとって」 「「ゆゆゆっ!?」」 それを言うなら人間もある意味ゆっくりと同じ部類に分類されるかもしれない。 だが幼い少年達は、まるで何処かの国のように彼等だけの理屈を強引にまりさ達へと押し付ける。 「そうだ、今俺達地球防衛軍ごっこやってるんだよな」 「うん。やっぱりこいつ等駆除するのって、地球の為になるんだね」 「善は急げだ、他のも手っ取り早く始末しよう」 のた打ち回って苦しむ子まりさを尻目に、少年達は淡々と“遊び”の続きの為の準備を始めた。 三、 五体満足な子供達は、赤れいむと赤まりさが一匹ずつ。 少年達は二匹を見比べると、赤れいむをチョイスした。 「赤リボンにしよう。さっきの奴の雑音がまだ耳に残っててすっげーむかつくから」 「どうちてぇえええええ!?」 子れいむの渾身のおうたは、赤れいむに八つ当たりの矛先を向けさせてしまった。 とんでもないとばっちりである。 「きゃわいいれーみゅがこまってりゅんだよぉおおお!!! おちょーしゃんもおかーしゃんもどーちてたちゅけてくれにゃいにょぉおおお!?」 他力本願だが、無力な赤ゆにとって両親はこの場で唯一頼れる存在なのだ。 姉達の内一人は死に、もう一人はかろうじて生きてはいるが動けない状態とどうしようもない。 「おねがいです!! れいむににたおちびちゃんはもう、そのあかちゃんしかいないんですぅううう!!! だからころさないでくださいぃいいい!!!」 自分に似た可愛い娘はもう赤れいむしかいない。 必死で何度も土下座をするれいむ。 上から目線だった言葉遣いも敬語になり、今までとは違う。 「分かったよ。殺さなきゃいいんだな?」 「はい! ありがどうございまずぅううう!!!」 「何勘違いしてやがる」 「ゆ?」 少年は正義の味方というより悪人らしい笑顔を浮かべると、赤れいむを持って近くに生えている木まで近付く。 「にゃにしゅるにょ!?」 「お前のお母さんが泣いて頼むもんだから、死刑だけは勘弁してやるよ」 丁度良い細さの枝を探し当てると、 「奥義、百舌鳥の早贄!!!」 「えげぇえええええっ!!!」 赤れいむの口を枝が貫く。 少年が強引に赤れいむを枝に突き通したのだ。 傷ついたのは口と、貫通した背中の傷だけなので餡子は漏れず、すぐに死に至ることはない。 モズは獲物を食べもせず木の枝に突き刺したままにすることがあるという。 この光景はまさしくそれに近いものがあるだろう。 もっとも、残酷さはそれを軽く上回っているが。 「一瞬で殺してやることもできたんだけどな、お前のお母さんが余計なこと言うから」 「れ、れいむのせいなの!?」 「ああ、可哀想に」 棒読みで少年がれいむを非難する。 「れ、れいむはあかちゃんを……」 「次はクロボウシな」 悲嘆に暮れるれいむを無視し、最後の赤ちゃんが標的にされた。 「もう、やめでぇえええ!!!」 「嫌だね」 もう何度懇願しただろう、まりさの願いはまたも黙殺される。 赤まりさは、夫婦にとっての最後の希望なのだ。 唯一五体満足で、少年達が思い止まればこれからもゆっくりできる可能性がある。 子まりさはあんよをうしなってもう動けないし、木の枝に縫いとめられて奇妙なオブジェと化した赤れいむはもう助からない。 だから、この赤ちゃんだけは……! 「痛いことはしない、でも、じわじわ苦しめてやる」 「ひゃみぇひぇひぇ! ひゃいひゃひょおひゅひ!!」 (やめちぇにぇ! まりちゃのおくち!!) チューブのようなものを咥えさせられ喚く赤まりさ。 抵抗していると、チューブの中から苦い液体が放出された。 形容し難い味が口内いっぱいに広がっていく。 (にぎゃいぃいいい!!! まじゅいぃいいい!!! こりぇどくはいっちぇりゅ!!!) 甘味を好むゆっくりの味覚にとって絶対に受け付けない味。 いや、およそ生きとし生けるものにとって、その味を好む物は存在しないだろう。 (こんにゃまじゅいもにょまりちゃにのましゃりゅなんちぇ!!) 文句を言ってやろうと口を開けようとすると、違和感を感じる。 (ゆ!? ゆゆ? ゆゆゆ!?) どうやっても口が開かないのだ。 「成功したか」 赤まりさが口に入れられたもの、それは瞬間接着剤。 口が小さい赤ゆに対してならそんなに多くの量を消費せず、容易に口腔を接着できるのだ。 これで、赤まりさは一生口を開く事ができなくなった。 それは、食事もできないということであり、死を意味する。 「ほれ」 「あかちゃん!!」 まりさの目の前に赤まりさが返還されるがうんともすんとも言わず、ただ涙を流し続けるだけだった。 「あかちゃん! しゃべれないの!?」 こくり、と体を前に倒す赤まりさ。 我が子達に待ち受ける暗い運命に、まりさは呻いた。 四、 これで、今生きているまりさの子供達の中で無事な者は誰一人いなくなった。 「よくも……」 落ち込んでいるまりさの耳に、これまでに一度も聞いた事が無い程低いれいむの声が聞こえた。 「よくも、れいむのかわいいかわいいおちびちゃんたちをぉおおおおおおっ!!!」 れいむが少年達に向けて特攻していたのだ。 人間に勝てないことはこれまでのことで分かっている、しかし理性を感情が上回ったのだ。 憎しみが導くままに、歯を剥き出しにして少しでも彼等に手傷を負わせてやろうとしたのだ。 おちびちゃん達の苦しみを、少しでも! こんなゲスにおちびちゃん達は理不尽に殺されて、傷つけられたんだ! 「だめだよ……」 まりさは、この次に起こる事を半ば予想していた。 「まって……」 少年がバットを流れるような動作で構えて、れいむが地面を蹴って飛び上がった。 「おねがいだから……」 少年の上半身が捻られ、バットがれいむ目掛けて襲い掛かる。 「やめてぇえええっ!!!」 それは、どちらに向かっての言葉だったのだろうか。 愛するれいむか、はたまた憎き少年か。 いずれにせよ手遅れだった。 「げべぇええええええっ!!!」 吸い込まれるように、れいむの体に少年のバットが直撃した。 上顎から上は衝撃で吹き飛び、後方にいたまりさと赤まりさに餡子や皮がまるでシャワーのように降りかかる。 勢いを失って落ちた下顎はしばらく舌をびくびくと痙攣させていたが、やがてその動きも止まった。 「れいむぅうううううううううううっ!!!」 たった今れいむを撲殺した少年は額を拭う仕草をして、 「正当防衛だからな」 と言った。 まりさは、結局家族を誰一人守れなかったのだ。 「あ……。ゆぁあっ……!」 呆然としている間に帽子が奪われ、ハサミで切り刻まれる。 「これで、お前はもうゆっくりできない」 「……して」 「え?」 「まりさを、まりさたちをころしてください……」 家族を誰一人守れない父親は、存在価値が無いのだ。 子まりさ、赤まりさ、赤れいむも長くはあるまい。 寧ろ、もう生きていたくないのだ。 早くあの世に行ってまた家族で皆仲良く暮らしたい。 今のまりさの願いはそれだけだった。 「どうする?」 「ん~」 少年達は考えながら時計を見て、 「却下」 それだけを告げた。 「……なんで? にんげんさんなら、まりさたちをころすなんてかんたんでしょ!?」 頼みもしないのに散々まりさ達を傷つけて殺したくせに! 「もう疲れた」 「それに、自分から殺してって言われたから萎えた」 「ていうか、飽きた」 「腹減ったし」 子供は飽きっぽいのだ。 勝手な理由で行動し、勝手な理由でそれを止める、自由気儘な存在。 その行動の対象が、今回偶々まりさ達一家やその所属していた群れだっただけの話。 ゆっくりにはどうしようもない、天災みたいなものだ。 「じゃーな」 「生きてたらまた会おうぜ」 「元気でなー」 「楽しかったぜ」 遊ぶだけ遊ぶと、少年達は足早に立ち去って行った。 彼らは家に戻り、暖かい夕食を食べて心地良い疲れと共に熟睡することだろう。 「……ゆ、ゆがぁああああああああああああああああああああああああっ!!!」 後には、ほんの少し前までとてもゆっくりしていたまりさ一家の成れの果てが残された。 五、 緩慢な動作でまりさは動き始めた。 「おちびちゃん……」 子まりさは、蟻に群がられていた。 自慢の俊足もあんよが失われていては逃げられず、餡子が漏れないように体を僅かに揺らすしか抵抗手段はない。 それなのに、蟻は小さい体を生かして地表から直接子まりさの体内に潜り込んで餡子を奪っていくのだ。 「ありざんやめでぇえええ!! まりじゃのあんごもっでがないでぇえええっ!!」 普段は遊び感覚で獲物としていた蟻、そんな矮小な存在に、今自分が捕食されようとしている。 「もうありざんたべまぜん!! だからやめでぇええええ!!!」 内側から侵食される恐怖を味わう子まりさを、まりさは救う事ができない。 子まりさ目当ての夥しい数の蟻から、赤まりさを守ることで手一杯だったのだ。 「おとーじゃんだじゅけでぇえええ!! なんでたじゅげでぐれないのぉおおお!! おがーじゃあああん!! れいみゅぅううう!!」 もう意識が混濁して喚き散らすことしかできず、子まりさは蟻達の栄養となるしかなかった。 真っ黒な塊と化し、声さえ出せなくなりながらも死ぬまでには翌日までかかり、貪られ続けたのである。 「ごめんね……」 赤れいむは、夕暮れ近くになってやってきたカラスにその身を啄ばまれていた。 何でも食べるカラスにとって赤ゆっくりはご馳走である。 「からすさんはおちびちゃんをたべないでね!! ぷくぅううううううっ!!!」 痛む体に鞭打って威嚇をするが、地面から見上げるだけでは当然カラスに太刀打ちできず、赤れいむがカラスの胃に収まるのを黙って見ているだけだった。 「……」 赤まりさを口に入れて巣の中に帰り、眠りにつく。 ご飯を食べる気分ではなかったし、食事ができない赤まりさの前で一人だけ夕食をとるのは憚られたからだ。 そうすれば、今日の事は悪夢で、目が覚めればまたゆっくりした家族の顔があるのだと儚い希望を抱きながら。 六、 目が覚めたまりさはおうちの中を見渡すと、そこには赤まりさしかいなかった。 現実は厳しく、夢ならばどんなによかったか。 「おはようあかちゃん……」 「……」 赤まりさは返事ができなかったが、目線を返す。 やはり食事をしていないから弱っているようだ。 「おとうさんは、だれかいきてるゆっくりがいないかみてくるよ。いいこにしててね」 「……」 外に出ると、昨日の惨劇の爪痕が色濃く残っていた。 れいむと子供達の死体は捕食されて幾らか減ってはいたが、それでも凄惨な光景だった。 「ゆ、ゆげぇえええっ!!!」 まりさはあまりの気分の悪さに餡子を吐き出し、荒い呼吸をする。 ありすの死体も、虫が集って直視できない状態になっていた。 その場から逃げ出すように急いで広場へと向かう。 「みんな、いない……」 そこも似たような有様で、息をしているゆっくりは一匹もいなかった。 比較的まともな形で死んでいるものはまだ良い方だったぐらいだ。 「……」 ありすのおうちだったところにも足を運んでみたが、やはりそこにも絶望しか残っていなかった。 ぱちゅりーは死んでいて、その付近には、彼女とありすの一粒種になる予定だった筈の赤ちゃんらしき死体が転がっているだけ。 これで、まりさの知り合いは皆死んでしまった事になる。 「ただいま……」 とぼとぼとおうちに帰ると、赤まりさは目を閉じていた。 「あかちゃん、おねむなの?」 舌で舐めると、こてん、と転がったまま微動だにしない。 「あかちゃん? おとうさんだよ?」 呼びかけても一向に起きない。 赤まりさは、餓死したのだ。 「みんな、しんじゃったよ……」 おうちは、相変わらず立派だった。 でも、大切な物は。 「れいむも、おちびちゃんたちも、ゆっくりぷれいすもなくなっちゃったよ」 家族や群れのゆっくりした仲間がいてこそのゆっくりプレイス。 「まりさは、なにもまもれなかったよ。やくそくしたのに、まもれなかったよ……。まりさは、まりさは……」 広くなったおうちの中で、まりさの呟きだけが何時までも聞こえていた。 七、 一方、まりさ一家を悲しみが襲った日、家に帰った少年の一人は用意されていた夕食を母親と食べていた。 「今日お父さん遅くなんの?」 「そうみたいね」 「今日はな、俺、地球を守ってたんだぜ」 「この子は訳分からないこと言って……」 溜め息をつく母親に、誤解されないよう分かりやすく説明する。 「えーと、地球防衛軍ごっこだよ。森入ってゆっくり殺して遊んでたんだ」 「何だ、いつもと似たようなことしてただけじゃないの。また大袈裟な」 人間にとって、このようなことは日常茶飯事なのであった。 餡庫始まってもう一年になるんですね。 この道に興味持って半年未満の自分ですが、おめでとう、とだけ言わせて貰います。 ふたば系ゆっくりいじめ保管庫見たら売春婦4に新しい挿絵が! 儚いあき様、有難うございます!! Can ゆー defend? 中編の子れいむのマクロスの奴パクったおうた、あれ自分で口ずさみながらチェックして書いてたんですが、親に聞かれて恥かいたのは黒歴史。 ヤリまむあきでした。 ヤリまむあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る この世にゆっくりが居れば罪のない虫が殺される事もないと思った作品でした -- 2012-02-07 14 08 23 す、す、すっきりーー!!!!めっちゃ最高だよ!!!パネェQNQNだよ!!! あー面白かったww子供の虐待は明るくて後味が爽やかでいいよね! やっぱり変にこった設定や虐待方法がなくても丁寧に心を壊していく虐待は最高だね 話や構成もとても丁寧かつしっかりと練りこまれていて奇抜さ無いけどとても重厚な読み心地でしたw ゲス制裁も面白いけど、やはり私はゆ虐の王道たる善良理不尽虐待が大好きです♪ -- 2011-11-16 06 19 24 鬼威家の親戚の子かな? -- 2011-08-11 19 12 22 ↓中国行ってスナッフビデオでも見てろよエイユウ志望様 -- 2011-07-20 15 33 27 どっちもゲス 人間のクソガキを鬼意山がブチ殺して「お前らクソガキもゆっくりも同じゴミなんだよ!」とか、そういう面白い展開無いかな -- 2011-03-11 19 25 56 子供達がマクロスを汚すなとか言ってるけど、その年齢でマクロスを網羅してるのか?しかも三人とも? にわかのガキがマクロスFだけ見て言ってるんだったら腹立つな。 -- 2011-01-21 21 58 24 ゆっくりできたよー! 童心の遊びってこんな感じか。 昔苛めた虫も喋れればこういう事を言ってたのかな? …いやゆっくりと比べたら虫に失礼か -- 2010-12-05 22 19 35 これは嫌だ -- 2010-10-13 18 30 42 子供たちは善良を自称するゲス饅頭軍団から森の生き物たちを守ったんだよ…… 食べ物がいくらでもあるとのたまう饅頭どものことだ、調子にのって無計画に森の生き物を食い尽くすに違いない 行き詰まった宇宙生物どもはやがて必ず人間の街を侵略するだろう。その危機を未然に防いだんだ -- 2010-09-22 00 34 50 ゆっくりに守れるものなんてあるの? -- 2010-08-31 10 31 21 「あかちゃん! しゃべれないの!?」 何でか解らないけどこういう台詞が凄くゆっくりできる ピンチのゆっくりが感傷的な台詞を言うのは余裕ありそうで嫌だが、必死な状況確認は胸が熱くなるな 「あかちゃん」というのもGOOD -- 2010-08-18 10 04 16 ゲスいじめは悪をこらしめるってゆーいわゆる勧善懲悪ってかんじだけど善良なゆっくりいじめはほんといじめてる感がある。 -- 2010-08-17 10 15 49 善良なゆっくりのほうが虐待しがいがあると思うな。いかにもいじめてますってかんじがいい。 -- 2010-08-06 10 54 51 ガキうぜぇw 鬼意山の無慈悲な虐待のほうが面白いな -- 2010-08-05 22 30 27 子供って、こういう昆虫を面白がって殺したりするの 一回はやるものですよね。面白かったです。 ゲスなゆっくりだったらもっと良かったかも。 -- 2010-07-23 02 43 17 いいお話でした。ゆっくりー。 -- 2010-07-10 12 11 39 ゴミ掃除くらい誰でもするでしょ -- 2010-06-30 00 44 17 日常茶飯事ってw -- 2010-06-22 16 26 02 ゆっくりできたよ -- 2010-06-14 03 30 16 ゆっくりはどうでもいいけど、このガキがむかつきすぎてゆっくりできないぃいいいい -- 2010-04-17 04 20 52
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ロンリー・ラック 23KB 悲劇 観察 自業自得 自滅 家族崩壊 ツガイ 赤子・子供 都会 現代 うんしー 七作目 「ロンリー・ラック」 ・「ふたば系ゆっくりいじめ 592 コールド・ソング」の続編という形を取っています。 ・人間視点ですが主軸はゆっくりです ・駄文注意 ・いくつかの独自設定を使っています ・セールスあきさんの「未熟ゆっくり」の設定を使わせていただいております。 ・うんしー注意 ・善良?なゆっくりがひどい目にあいますご注意を ・自滅モノです 冬、空はまるで突き抜けるような雲ひとつない光景。 燦々と輝く太陽が眩しいとすら感じる。だが今は冬、肌を刺すような冷たい風が過酷な環境だと言う現実に私を引き戻す。 私の「観察」は続く。冬のゆっくりのダイレクトな姿を、別の側面を捉えたいのだ。 …そこに意味などないのかもしれない。だが名もなく、人々の記憶にも残らず、時に蔑まれる街のゆっくりの姿を少しでも残しておきたいと私は思っていた。 その日、忘れ去られた様な寂れた高架下で私は変わった子ゆっくりを持つ「捨てゆっくり」に出会った。 高架下、上ではブンブンと車が行き交うその下は驚くほどに退廃的で、荒涼とした風景が広がっている。 うす暗く、廃棄されたゴミやベンチを見るに、使われなくなったゲートボール場の様だ。 高架下の支柱にもたれるように置かれたベンチの下に、そのゆっくり達はいた。 羽付きがこっちへ来いとせかす。私は高架下に入ってそのベンチの下をのぞき込んでいった。 ダンボールで風よけを作っているその奥に、二匹のゆっくりが警戒しながらこちらの様子をうかがっている。 トンガリ帽子に砂糖細工の金の髪と赤いリボンに左右のピコピコ、あれは「ゆっくりれいむ」と「ゆっくりまりさ」だ。 見たところ二匹だけの様だ。そう思っていたが急にまりさの帽子から何かがピョコンと複数飛び出て来る。 「ゆわ!?なんなのぜこれは!?」 羽付きが驚きの声を上げた。私もそれを見て違和感の様なものを感じる。 「ゆっきゅり!ゆっきゅり!」 「あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!」 「むきゅ!むきゅ!」 三匹の赤ゆっくり「らしき」ゆっくりがそこにいた。 何と形容していいか分からない。新種か何かだろうか? サイズは赤ゆっくりよりさらに一回り小さいプチトマトの様なサイズだ。 サイズはまだいい。問題はその風貌である。 通常ゆっくりの「砂糖細工の髪」と言うのは地面に垂れるほど…とはいかずとも側面まで生えている筈だ。 だがこのゆっくりは頭頂部から上部の一部。形容するならまるで「カッパの皿」の様な生え方をしていた。 一匹の赤ゆっくりらしき饅頭は小麦粉の皮が陰になって見えなくなるほど小さいがリボンの様な物があり、殆ど頭と平行についた「ピコピコらしきもの」が動いている。恐らくは「れいむ種」だろう。 もう一匹は柿のヘタのような物が頭に乗っかっている。何かと見れば小さなトンガリ帽子の様だ。 かろうじて左の砂糖細工の髪がわずかに伸びている。そして金…と言うより黄色がかった色…恐らくではあるがこれは「まりさ種」であろうか? 一体これはどういう事なのだろうか?全く見たことのない未知のものを見た時の様な恐怖が私の背筋を冷たくさせていた。 最後の一匹は、泣き声で分かる。「ぱちゅりー種」だ。 だが私の知っているぱちゅりー種とは大きく何かが違う。 これも側面についている地面にたれる程の「モミアゲ」部分が殆ど頭と平行についている。周りの髪と比べてわずかに長いという程度で飛び跳ねるたびに上下にビュンビュンと振れていた。 帽子…は髪に埋もれるように小さくあるようだ。 寒天の目が顔のパーツのほとんどを占めているため「ギョロ目」の様になっておりそれが違和感からくる気持ち悪さの原因になっていた。 言葉も話せないようだ。一様に「むきゅ」「ゆっきゅち」「あみゃあみゃ」等しか言わない。 私の足もとで跳ねているそれらを見て、二匹のゆっくりが飛び出してきた。 「おぢびぢゃんでぢゃだめでじょおおおおおおおお!?」 「ゆ、ゆっくりかえってね!れ、れいむおこるよ!」 同じ事を壊れたラジカセの様に繰り返す赤ゆっくり達を庇うように帽子の中に詰めていくまりさ。 そして私と羽付きの前で動揺しながらも大きく膨れて威嚇しているれいむ。 「なにかかんちがいしてるようだけどまりさたちはべつになにもするきはないんだぜ」 羽付きが冷静に話を進める。 最初は懐疑的だったれいむとまりさも羽付きの説得により、ようやく落ち着いた様だ。 私はメモ帳を片手に赤ゆっくりの特徴を書き、そしてなぜそのゆっくり達の生い立ちとこれまでのいきさつを聞いていた。 まりさ一家が話した言葉を整理するとこうだ。 元々、このゆっくり達は二匹とも同じ場所で飼われている銀バッジの飼いゆっくりであった。 バスケットボールサイズに大きくなる頃に、「すっきり禁止」を破ってしまい、れいむの頭に蔓が生えてしまう。 それが見つかり蔓を引き抜かれた上で外へ叩きだされたそうだ。 当然の事だが蔓が引き抜かれると実ゆっくりは枯れてしまう。それを阻止するためにれいむ自らが機転を利かせて餡子を吐き出し水で薄めた液体に蔓をつけたそうだ。 蔓には全部で五つの実がなっていたが、結局生まれたのは三つ。その内一つは生まれるはずのないぱちゅりー種だった。 だが自分の子ゆっくりである事には変わりない。ひいきもせず愛情を注いでいる、との事だ。 「おうち」の中をのぞかせてもらった私は信じられない光景を目にした。 そこにあるのはいくつかの菓子パンとゆっくりフードの空き箱、そしてボロボロの毛布と、ゆっくりの言葉を借りるなら「ふかふか」がそこにあった。 羽付きも私も怪訝に思った。捨てゆっくりの様なゆっくりが毛布ならまだしも、ここまで新しい菓子類をこんなに手に入れる事は通常ありえないはずだ。 羽付きは「これはどこでてにいれたのかぜ?」と聞いた。それに対してれいむとまりさはこう言った 「ゆゆ…にんげんさんがおいていってくれたんだよ…」 「まりさたちはこれからおちびちゃんたちとゆっくりしてからごはんさんをさがしにいくんだよ!」 どうやら、おいていった食料が底をついたのはあまり前の事ではない様だ。これだけのものを手心で置いていっただけでも相当恵まれていると言っていいだろう。 私はさっきから足もとで喚く赤ゆっくり三匹を眺めて考える。唯一種類の違うぱちゅりー種… 記憶の奥底である事を閃くように思い出した。これは「取り替え子ゆっくり」ではないだろうか? 「取り替え子」という物が稀に番いのゆっくりから生まれる。様は番いの組み合わから生まれるはずのないゆっくりが生まれるのだ。 取り替え子ゆっくりの凄い所は「幸運」である事だ。いくつかの資料にや文献では、取り替え子は飼いゆっくりになるといった話が多々見受けられる。 と、言う事はこの捨てゆっくり達はその恩恵のお陰で生き残れているのだろうか? 俄かに信じがたい話だが、(ゆっくりにとって)生き抜く知恵も力も常に試され続ける過酷なこの街で生き残っていると言う事実を目にして、それが真実だと思わざる負えなかった。 私はそのまりさ一家に話を聞き、一旦その場から離れて様子がうかがえる所で一旦休憩をとる。 道中、羽付きにその話をした。羽付きもかなり意外そうな顔だ。 「ゆぅぅ…まりさがしってるゆっくりのなかにもそんなのはいくつかきいたけど、まさかそんなとくべつなゆっくりとはおもわなかったんだぜ」 「野良ゆっくりは必ず潰してしまうかぞんざいな扱いをするからと聞いているからね…」 「ゆゆ、たしかにそうだぜ。「ゆっくりできないゆっくり」といってつぶしてしまうのがふつうだとおもってたぜ!そもそも「ゆっくりできるゆっくり」なんてまりさはつむりぐらいしかきいたことがないんだぜ」 羽付きでも知らない事があるらしい。それが私にとっては一番の驚きだ(当たり前の話だが私にはどうしても羽付きが何でも知っているイメージが先行してしまっているので驚くという感情をもったのだろう) これでとても興味が出てきた。それほどラッキーなゆっくりを育てる捨てゆっくり一家、生活はどうなっているのか。ますます興味がわく。 高揚していく気分の中で脳裏にフッとある考えが出てきた。取り替え子ぱちゅりーはタダでさえ種類的に脆弱だ。 更に赤ゆっくりならぬ「未熟ゆっくり」である。いくら幸運が舞い降りると言えこの季節にこの街だ。厳しいかもしれない。 改めて様子を見てみる。 二匹のれいむとまりさは「おうち」の奥で小麦粉の皮をくっつけてニコニコと笑っていた。 その前にあいた僅かなスペースで赤ゆっくりがピョコピョコと跳ねまわっていた。 「ゆっきゅちゆっきゅち!」 「ゆゆ!ゆっきゅち!ゆ!」 「むきゅ!むっきゅ!」 見るたびに思うが何か不気味だ。前述したような見慣れないものを見た時の違和感がそのまま恐怖心に変わったような感情を私は感じていた。 「ゆ!おちびちゃんたちとってもゆっくりしてるね!」 まりさがそう言った。れいむはその言葉を聞きながらうれしそうに左右のピコピコを揺らす。 不意に赤ゆっくり達がプルプルと震えはじめた。 何をするかと思えば毛布の上であにゃるを出してうんうんをし始める。 「「ちゅっきり!ちゅっきりー!」」 わずかな量ではあるがシツケがなっていないようだ。れいむが舌を伸ばしてうんうんを掴むと外へ投げだした。 元飼いゆっくりと言う事は「トイレ」の概念を持っているはずである。それをいくらまだいくつかの単語しかしゃべれないとはいえ咎めもしないあたり、私はこの番いがなぜ捨てられたかなんとなくわかった気がした。 羽付きも怪訝な顔でその様子を眺めている。恐らくではあるが「取り替え子ゆっくり」の話をまだ信じていないようだ。私だってそんな話を聞いただけで実際検証も確信も統計も得られていない様な雲をつかむ話なのだ。 「街」という「現実」が集まって作られた様な場所で生き抜いている羽付きが半信半疑なのは当然だろう。 相も変わらずまりさ一家の日常が私の目の前で続いていた。 不意に赤まりさが何かを言いかけている。騒ぐれいむとまりさを見れば、いやでも耳に入った。 「ゆっきゅち!だ、だっきゅち!だ、だじ!…じぇ!」 「ゆゆううう!!おちびちゃんがあたらしくなにかしゃべろうとしているよ!」 「ゆ!まりさ!?ほんとだ!おちびちゃんゆっくりがんばってね!」 喋る言葉とは何なのだろうか?と私が羽付きに聞くと興味が無いようにさらっと答える。 「ゆゆぅ…たぶん"だぜ"だとおもうんだぜ…まだうまれたてのあかゆっくりがおしえてもいないのにおぼえるってことはぎんばっじのなかでもわるいほうのあんこをついだゆっくりだとおもうんだぜ」 羽付きが説明してくれた。 ゆっくりは餡子の中に記憶を引き継ぐ。 なのであの赤まりさが「だぜ」口調でもなんでもないまりさからなにも教わってもないのに覚えようとしているのは恐らくあのまりさの親ゆっくりの片方が「だぜ」と言う喋り方をしていたか、もしくはあのまりさが「だぜ口調」を矯正されたかの二択という話だ。(羽付きがどうなのかは分からないが少なくとも聞ける雰囲気ではなかった) さて、まりさ一家に目を向ける。「ゆっくりがんばってね!」とはやし立てる横で「ゆっきゅち!ゆっきゅち!」だの「むきゅむきゅ!」だのと言って周りを跳ねまわっている赤ゆっくり二匹が非常にシュールだ。 「ゆっきゅ!だ、だ!じぇ!だじぇ!だじぇ!」 「ゆゆゆうううううううううううん!!までぃざああああああああ!!すごいよおおおおおおお!!」 「さすがまりさとれいむのこゆっくりなんだぜええええええええええ!」 「までぃざあああああああああ!!すーりすーりいいいいいいいいい!!」 「でいぶううううううう!!すーりすーりいいいいいいいいいいい!!」 また同じように「だじぇ!だじぇ!」と繰り返し続ける赤まりさを見ながら寒天の両目から涙とそして口からよだれを撒き散らしてすーりすーりをしているまりさとれいむ。 羽付きが一言「喜ぶことじゃないだろう」と言ったのが一番鮮明に記憶に残っている。 ここまでは感動的な光景だ。確かに私が今まで観察してきたゆっくりの中では最も幸せなゆっくり達なのかもしれない。 喜んですっきりでもするのかという速度ですーりすーりを繰り返すまりさとれいむを見ながら考えていた。食料も尽きたのになぜそんなに能天気なのか?と 喜ぶのもつかの間、まりさが急に眉をキリッとさせて厳格にこう切り出した。 「ゆゆ!これからごはんさんをとりにいくよ!」とまりさが言った。 それにれいむが「ゆっくりわかったよ!」と答える。 まりさは帽子を頭から取り払い、舌で丁重に赤ゆっくりを頭の上に載せ、蓋をするように帽子をかぶる。 私はその光景に目を疑った。いくらなんでも不用心すぎるのではないだろうか?食料は食いつくしてないからとはいえ、まだ「おうち」には毛布が残っているのだ。 帽子の中で「だじぇ!だじぇ!」とか「ゆっきゅち!」とか「むきゅ!」とかの声が聞こえる。そんなに跳ねまわっては帽子から転がり落ちてしまうのではないだろうかという勢いの様だ。 「「ゆっくりいってきます!」」と何もない「おうち」に言うとそのまま高架下から勢いよく跳ねだしていった。 羽付きが追う。私もその後ろをついていった。捨てゆっくりの狩りとは一体どのような物なのだろうか? ―−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆ!ゆ!おちびちゃんゆっくりうごかないでね!おちちゃうよ!」 まりさが帽子を気遣いながら跳ねていた。スピードは赤ゆっくりを気遣ってかかなり遅い。 「ゆゆ!おちびちゃんまりさをこまらせないでね!」 れいむがなだめ様にも赤ゆっくり達は飛び跳ねるのを止めないみたいだ。 どうやら「だじぇ」と喋れるようになったのが余程うれしいらしい。周りの赤れいむや赤ぱちゅりーにも波及して手に負えない程に跳ねまわっている様だ。 「ゆゆう…しかたないよ…おぼうしさんからいったんだすね…おちびちゃんたちだいじょうぶかな…」 「ゆっくりだいじょうぶだよ!いつももうふさんやくささんのうえをげんきにかけっこしてるんだからかたいじめんさんのうえでもだいじょうぶだよ!」 まりさが帽子を舌で取り払う。コロンと三つの赤ゆっくりが飛び出て来た。 左右のピコピコやおさげ、もみあげを上下に振りながら「ゆっきゅち!ゆっきゅち!」「だじぇ!だじぇ!」「むきゅ!むきゅ!」と各々が言って跳ねまわる。 「おちびちゃんたちゆっくりついてきてね!」 まりさが飛び跳ねる。その後ろを赤ゆっくりが跳ねまわってついていき、最後にれいむが赤ゆっくりの後ろをついて跳ねるといった構図だ。 中々考えている様だがすぐに陣形が横並びに左からまりさ、赤ゆっくり、れいむに変わったりと不規則になっている。あれではあまり意味がない。 元気よく跳ねまわる赤ゆっくりの姿は秋頃よく見かけた茶色ともネズミ色ともつかないバッタを彷彿とさせた。あのバッタの名は前なんて言うんだろうか…そんな事を考えながらついていく。 あのまりさの口ぶりからするにアスファルトの上を跳ねるのはどうやら初めての様だ。高架下は剥き出しの砂粒の上だが下生えの雑草が生えているためそれほど負担にならなかったのだろう。 だが、私の考えに反して中々元気に跳ねまわっている様だ。 道を歩いていると人通りの少ない歩道の端に空き缶が立てられていた。 まりさ一家がそれを見つけたようだ。一斉に跳ねて回りをぐるりと囲む。 まりさが舌でグイグイと押すが簡単に倒れず底の方を支点にぐるぐるとまわっている。誰かが飲みかけを放置した様だ。(ゆっくり達がひっくり返したりするのでしない方が好ましいとされている) 「ゆ!あまあまさんがはいってるかもしれないよ!」 まりさがそう言うとれいむはこう答えた。 「まりさはつつさんをたおしてね!れいむはころがしてあまあまさんをだすよ!」 「ゆっくりわかったよ!ゆ!」 まりさがそう答えて缶を体当たりで倒す。中からコポンと音がして何か液体がでだした。 れいむが舌で転がして缶の口を下にする。コポコポと液体がこぼれ出た。 「ゆゆ!おいしそうだね!ゆっくりごーくごーくするよ!」 れいむが先んじて舌を伸ばす。赤ゆっくり達がそれに気づいて急いで跳ねてきていた。 羽付きが声を押し殺しながら叫ぶ。 「にんげんさん…!あれ…!」 私も気づいた。あの水たまりの様になった液体の色合い、あれは明らかに… 「ごーくごーく…ゆげええええええええええええええええ!!??」 「「ゆっきゅち!?」」 「れ、れいむ?」 地面に口をつけて啜る様に空き缶の残りを飲んだれいむが突如拳大の大きさの餡子を吐き出した。餡子と砂糖水が混ざった液体も一緒でビチャビチャと音がする。 羽付きと私が気づいたもの、それは腐敗だった。 辺り前だ。飲みかけで開封済みのジュースを道の端に置いている物を飲むなんて自殺行為だ。 腐っていたら大変だ。つまりれいむはその「大変な物」にあたってしまったのである。 缶に書いてあるのは牛乳を使った飲料。腐れば酸味と苦味がマッチした凄まじい「刺激物」となるはずだ。刺激物はゆっくりにとっては猛毒に等しいもの。それを飲み込んだれいむは餡子を吐き出し始めたというわけだ(そもそもなぜ臭いで気がつかなかったのだろうか?) 「でいぶうううううう!!ゆっぐりなおっでね!ぺーろぺーろ!」 「ゆっきゅ!ゆっきゅち!」 「だじぇ!ゆっきゅちだじぇ!」 「むきゅ!」 まりさがれいむをぺーろぺーろし始める。相も変わらず赤ゆっくり達はれいむの周りを飛び跳ねていた。 だが吐き出すゆっくりに対してぺーろぺーろしたところで何の意味もない。 「ゆごっ!ゆげっゆごぶぐぇ!ゆげぇぇえええええ…ゆげほ!ゆごほ!!!ゆげぇぇ…!!」 砂糖水と餡子が混ざり合ったような液体を吐き出しながらせき込むれいむ。バスケットボール大のゆっくりが拳大の餡子を吐き出した位では死にはしないがしばらく動けないだろう。 すぐにれいむが寒天の目をグリンと上に向けて痙攣を始めた。これはゆっくりが急激に餡子が無くなった時に起こる症状だ。致死量ではないが急激に餡子を吐き出した時でも、異物が饅頭内に残っているため暫くこんな行動を起こす。 まりさはれいむのピコピコを口で掴むと後ろ向きで引っ張る様にズルズルと移動を始めた。狩りはこれでおしまいの様だ。 周りには赤ゆっくり達が相も変わらず跳ねまわって付いていっている。 羽付きがやれやれといった表情で解説を始めた。 曰く、番いが両方とも捨てゆっくりだった場合、あの様に人間が作ったものしか食べ物として認識しないらしい。 確かに道中食べられそうな雑草があっても見向きもしなかった。それはあのゆっくり達が食料として認識していないからとの事だ。 そして一番の不幸は「痛んだ物」をも認識できないその知識量にある。見た事があるものでもそれは「腐っている」と分からない。物が腐ると言う現象すら知らないのだ。 あのまりさ一家の末路はどうなるか、私は羽付きにそれを聞いてみた。羽付きは鼻で笑うとこう言った。 「まずあのれいむはもうだめだぜ。たぶんあのまりさがぺーろぺーろしまくってさらにぽんぽんをひやしてうんうんのだしすぎですぐにみいらだぜ」 私はまりさ一家に目を向ける。 「ゆ!ゆううう!いまおうちにかえるからね!あまあまさんをたべてゆっくりやすめばなおるよ!」 「ゆ”!ゆ”!ゆ”!ゆ”!」 「「「ゆっきゅちちちぇぇ!」」」 バラバラに言っていた赤ゆっくり達が初めてハモった。 新しい言葉だがそれを喜ぶ暇は当然の様にないようだ。 れいむを心配しているわけではなく、その表情から察するに相手をしてくれない事に対しての言葉だろうか? 十分かけてようやく高架下につく。 まりさ一家は巣に入って必死にれいむをぺーろぺーろしている。 「ゆ!ゆ!れいむだいじょうぶ!?ぺーろぺーろ!」 「ゆ”!ゆ”!ぽんぽんいだいいいいい…!」 れいむの方が小麦粉の皮に玉の様な砂糖水の汗をびっしりとかいて苦しんでいる。グネグネと動きながらビチビチのうんうんがあにゃるから流れるように出ている。 赤ぱちゅりー…もとい赤ゆっくりはと言うと。 「「ちゅーやちゅーや…」」と三匹仲良くおうちの入り口近くで横にこかす様に置かれたまりさの帽子の中で小麦粉の皮を寄せ合って眠っていた。疲れたようだ。 恐らくまりさが帽子と赤ゆっくりがうんうんで汚れないようにするために脱いでおいてあるのだろう。 まりさが毛布についたうんうんを舌で外に捨てる。だがいくらやってもキリがない。 うんうんを捨て去った後は、まりさはれいむをぺーろぺーろしはじめる。 さっきからうんうんを捨ててはぺーろぺーろしてそしてまたうんうんが出ては捨てての繰り返しだ。 「あんこさんがなくなったらでいぶがゆっぐりでぎないよおおおお!!あんござんゆっぐりどまっでね!ぺーろぺーろ!」 「ゆ”うううう!!なべないでぇぇえええっ!」 まりさがれいむの下部分をぺーろぺーろする。だが隙間風が入るぐらいには風のある冬の日に、そんな小麦粉の皮を冷やす様な事をしていては、治るものも治らない。当然れいむの「びちうん」(お汁粉)は激しさを増す。 れいむがうんうんをびちびちとひり出しながらグネグネと動いて叫ぶ。砂糖水の涙と涎、そして液体状の餡子にまみれたその姿は今食事中なら思わず吐き出しそうな光景だった。(いくらただの餡子とはいえ精神衛生上気味が悪すぎる) 「でぢゃううううう!!ゆぎぎぃぃ…!」 「あ”あ”あ”あ”!!でいぶうううう!?」 今度はれいむが苦しそうに上を向いてあにゃるを向ける。 あにゃるの先にはまりさの帽子の内部、つまり赤ゆっくりが眠っている場所にロックオンされていた。 「ゆぐぐぐ・・・うんうんがどまらないぃぃ・・・!!」 「ゆ!?まってね!ゆっくりがまんしてね!まりさのおぼうしさんをいまどけるからね!」 まりさが舌で帽子をどけようとする。その時目覚めた赤ぱちゅりーがすぐさまモミアゲを上下に振るってピョコンと跳ねた。 「むきゅ!」 「ゆゆうう!?」 着地場所がまりさの舌の先だったのがまずかった。赤ぱちゅりーはもう一度跳ねて帽子の外へと出てしまったが、最初のジャンプでまりさの舌は帽子から一瞬離れてしまっていた。それが命取りとなる。 「ゆぐぐぐ・・・!ぼうだべえええええええ!!でるうううううううう!!」 「でいぶやべでええええええええええ!!」 その声に目覚めたのか、赤まりさと赤れいむがパッチリと目を開けた。 あにゃるをこちらに向けて砂糖細工の歯を食いしばっている凄まじい表情のれいむと泣き叫ぶまりさの姿がその時見えたのではないかと私は後に推測する。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!ずっぎりいいいいいいいいいいいい!!」 れいむのあにゃるからびちうん(お汁粉)が勢いよく噴き出した。その勢いはまるで土石流 落ち行く先はまりさの帽子と中にいる赤まりさと赤れいむだった。 うんうんまみれになったまりさの帽子を見てまりさが叫ぶ。 「までぃざのおぼうじざんがああああああああああああああああ!!でいぶのばがあああああああああああ!!」 「ゆ”!ゆ”!ゆ”!」 れいむは最後に凄まじい勢いでうんうんを噴き出すとそのまま中の餡子が無くなったのか、寒天の目が白目をむいて痙攣したまま最後に大きく小麦粉の体を跳ねさせるとそのまま動かなくなってしまった。 私には帽子の中の様子がよく見えなかった。まりさが口で帽子の唾を掴んでブンっと振るとうんうんにまみれた赤れいむと赤まりさが出てくる。 そこで私はようやく大量のうんうんにまみれた赤れいむと赤まりさを見ることになる。 「ゆっぐりまっででね!いばまでぃざがうんうんをどるがらね!ぺーろぺーろ!」 まりさが必死にぺーろぺーろしてうんうんを取り払うがぴくりとも動かない。うんうんをぶっかけられたショックでそのまま物言わぬ饅頭となってしまったようだ。 「あ”あ”あ”あ”!?おぢびぢゃんんんんんんんんんんんん!?」 まりさの叫び声が辺りにこだました。 「ゆげぇ…いくらなんでもひどすぎるんだぜ…あれは…」 羽付きがえずくほどの光景がそこにあった。今度はまりさが必死に舌で帽子にこびりついたうんうんをなめとっている。 その真ん中で唯一無事だった赤ぱちゅりーが「むきゅ!むきゅ!」と元気に跳ねまわっていた。 それなりに綺麗になった帽子をかぶってまりさとれいむが叫ぶ。 「おぢびぢゃんんんんんんんんん!!ぶじだっだんだねええええええ!!よがっだよおおおおおおお!!すーりすーりいいいいいいいい!!」 「むきゅ!ちゅーりちゅーり!」 砂糖水の涙と涎を垂れ流しながらうんうんまみれの小麦粉の皮をすーりすーりする光景。感動もへったくれもない。その汚さに流石に私も辟易とした。 ようやく落ち着きを取り戻したようだが、問題はこれからであった。 「ゆ・・・ゆ・・・れいぶううう・・・おぢびぢゃん・・・」 かつてゆっくりだったれいむと赤ゆっくりにまりさが目を向ける。 私が遠めに見たかぎりでだが、れいむと赤れいむ、そして赤まりさは凄まじい形相で倒れ伏していた。 カピカピに干からびて寒天の白目をむいているれいむ。小麦粉の皮が水分をなくし、ひび割れが入っている程だ。 赤れいむと赤まりさはうんうんがどけられると舌を投げだしこれも同じように寒天の両目を白目になったまま物言わぬ饅頭となり果ててしまっていた。 「ゆ”!ゆ”!れいむ…おちびちゃんたち…おそらでゆっくりしててね…!」 まりさはそれを見て泣いている様だ。殆ど自分が原因だと言う事に気づいていないのが何とも言えずお粗末な物として私の目に映った。 まりさはくるっと振り返り、赤ぱちゅりーの方を向くとこう言った。 「いなくなったれいむやおちぢちゃんのぶんまでゆっくりしようね…!」 「むきゅ!ゆっきゅち!」 何とも感動的な光景だ。羽付きがその光景を嫌悪感を剥き出しにして見ながら、こう私に行った。 「もういいとおもうんだぜ…はやくかえるんだぜ…どうせあんなようすじゃあしたにはゆっくりできなくなってるんだぜ…」 一刻も早くどこかへ行ってしまいたいようだ。仕方がないので私と羽付きはそのまま引き上げることにする。 捨てまりさの決意を見た私は、そのまま羽付きとともに引き上げていった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー それから次の日、私と羽付きはあの「うんうんまりさ」と赤ぱちゅりーの様子を見るために再び高架下へとやってきていた。 様子が気になったからだ。 さて高架下のベンチの下へとやってくると羽付きが言ったとおり「うんうんまりさ」は頭から大量の蔓を生やしてそのまま小麦粉の皮だけとなって仲良くれいむだった饅頭の横で突っ伏して倒れていた。 どうやら昨日の騒音を聞きつけたいくつかのありすにすっきりし殺されたようだ。 蔓の先に生えている萎れた実を木の棒でつつきながら羽付きが呟く。 「やっぱりまりさのおもったとおりなんだぜ。あれだけさわげばおうちのいちをれいぱーありすにおしえるようなものなんだぜ」 基本的に街ゆっくりは自身の巣の周りではあまり騒がない。それはその音を聞きつけてやってくるありすやゲスゆっくり、しいてはれみりゃやふらん対策のためである。 羽付きが言うには、他の街ゆっくりの中でも警戒心が強いゆっくりは「おうち」を複数持っているという。 雨が降った時や何か危険が身に迫った時は近くの方の巣へ避難するためという意味合いがあるといった。 その話を聞きながら、ふと気になった。そういえば昨日の赤ぱちゅりーはどこだろうか? その時、うんうんまりさの横に落ちていた帽子の唾がモゾモゾと動いた。どけてみるとあの赤ぱちゅりーが元気よく飛び跳ねてくる。 「むきゅ!ゆっきゅち!ゆっきゅち!」 全く無傷なその姿を見て羽付きが半ばあきれるように驚いた。 「たすかってたのかぜ!?」 取り換え子ゆっくり、運がいいのは本当なのかもしれない。 私の足もとで飛び跳ねながら何かを口にしている。 「あみゃあみゃ!むきゅ!しゅっ!しゅっき!しゅっきり!あみゃあみゃ!」 あまあまを要求している様だ。そしてありす種の口癖らしきものを叫びながら私の足もとを跳ねまわっている。 跳ねまわる赤ぱちゅりーを尻目に、私は羽付きと一緒に踵を返して高架下を後にする。 あれだけ運のいい赤ぱちゅりーだ。きっと生き残るだろう。 私がそう思いつつ振り返る。羽付きもそれにあわせて赤ぱちゅりーの方を見る。 そのとてもラッキーな赤ぱちゅりーはすでに動かなくなったまりさ一家の周りをピョコピョコとただ孤独に跳ねまわり続けていた。 それからあの赤ぱちゅりーがどうなったか、羽付きが私と別れてすぐに見に行った頃には既にいなくなっていたという話だ。 今頃どこへ行っているのだろうか?少なくともあの赤ぱちゅりーが死ぬと言う事はまずあり得ないだろう。 自分だけが生き残って、周りが不運で淘汰されていく光景は、ある意味赤ぱちゅりーにとっては「アンラッキー」なのかもしれない――― 挿絵 byM1 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 504 かりすま☆ふぁいたー ふたば系ゆっくりいじめ 516 サバイバル・ウィンター ふたば系ゆっくりいじめ 527 シティ・リベンジャーズ ふたば系ゆっくりいじめ 582 ビルディング・フォレスト ふたば系ゆっくりいじめ 587 バトル・プレイス ふたば系ゆっくりいじめ 592 コールド・ソング トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ミス…現地の案内人さんが厨二説ってのに変えます -- 2016-05-20 19 52 31 渡部陽一さんは厨二だった説に変わりそう…なんかこれが日常なんだなぁと…色んな野良の生き方があっていいなって思えました。 -- 2016-05-20 19 47 28 こういった、外部の人物が探索に出向く内容だと、案内役が必要不可欠。 で、こういうスラムのような場所に詳しく、かつ他種族(この場合は人間) と交渉できる強かさを持つ、となれば、羽付きのようなキャラクターになるのは 必然。毎度毎度厨二言ってるコメは、そうした事が解らないんだろうな。哀れだ。 まあ当時子供だったんだろうが…、コメントから5年後の今は多少は矯正された のかねえ?w -- 2016-01-18 17 52 06 実話ゆックルズ -- 2015-11-16 01 09 34 厨二コメがくど過ぎる。こいついつも湧くな。 -- 2013-03-25 18 32 32 相変わらずハードな内容だ。でも読んでしまう… -- 2011-10-04 23 23 25 いいや違うっ!ステアウェイトゥゆっげえだっ! -- 2011-07-09 19 54 01 真の馬鹿は自覚が無いっていうしな -- 2011-07-08 23 57 21 厨二厨二言うわりには自分が小学生以下みたいなことしてるのに気がつかないのね -- 2011-07-08 02 34 27 ↓ゆっくりりかいしたよ! -- 2011-03-05 22 56 53 ↓デレても毛ほども嬉しくないツンデレだなwwむしろ害悪だ みんな〜そんな頭悪い荒らしに付き合っちゃだめなんだぜ〜付け上がるから -- 2011-03-05 11 59 53 ↓実は羽付きにことが好きなんでない?ひょっとしてツンデレ? -- 2011-03-05 01 02 23 ↓↓の人は作品に厨二設定があるとキモいって言ってるの?最近のアニメ・マンガはおろか小説(ラノベじゃなくても)や、それこそ東方原作だってなにがしか製作者の作った厨二設定や厨キャラはあるでしょ。世界の村上春樹の小説にだってあるくらいだし。それら全部批判してるわけ? というかなんで他の羽付きSSにも同じこと書いてんの?キモくて嫌なら読まなければいいじゃん。なんで読み続けてるの? -- 2011-03-04 16 18 55 醜く殺されたから安心しろっつってんだろ ここにあるSSが全部だと思って調子こいてるんじゃないよ -- 2011-03-04 13 15 03 ↓ゆあ~ん?いつも連続投稿一人小芝居してる知恵遅れさんなのかぜ? キモい厨二設定はキモいとしか言いようがないのぜ キモ!羽付きとかキモ!キンモ~!キモキモ!! ウォッオゲェッエエエエェェッェ!キモ過ぎて吐いてしまったのぜ -- 2011-03-04 08 50 06 ↓×2こいつっていつもSSにキモイばっかコメントしてる奴じゃない?他に言葉知らないの? -- 2011-03-04 02 53 18 ↓何この頭悪いコメント。 -- 2011-03-04 00 09 59 羽付きがキモ過ぎて どんな話であっても羽付きがキモ過ぎたしか感想が残らないね たぶん羽付きはお帽子を脱ぐと邪気眼が付いてるんだろうな -- 2011-03-03 18 11 19 あのぱちゅりーがどうなったのか、激しく気になるぜ… -- 2010-10-18 23 56 28 どんどん書いて欲しい・・・ -- 2010-06-10 00 36 02
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「おねえちゃん、おやさいがおちてるよ!」 「きょうからここをれいむたちのゆっくりプレイスにするよ!」 畑仕事がひと段落つき、干草に寝っ転がっていると近くからなんとも自分勝手な主張が聞こえてくる。 また出やがったな、害獣ゆっくり。幻想郷の作物を食い荒らす迷惑な生き物だ。俺は鍬を手に取り、ゆっくり共の背後に忍び寄った。 実は俺、虐待お兄さんである。だが、飲まず食わずでも平気な妖怪虐待お兄さんと違い、人間の俺は食べなければ餓死する。 しかたなく、オヤジから継いだ畑で農家をやっているのだ。 本当は加工場に勤めたかったんだが、志望動機に『ゆっくりをいじめることなら誰にも負けません』と書いたら 『加工場はゆっくりを虐待する場所ではありません。貴方は何か勘違いをしているようですね。』 と言われてしまった。なので、農作業の合間に畑に現れたゆっくりを潰すのがせめてもの息抜きなのだ。 荒い息を抑え、ゆっくりの背後の木の陰に隠れる。どっちから先に潰そうか…。よし、れいむの姉妹のようだし姉のほうから潰そう。 んで、妹が「お゛ね゛えぢゃん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」とか喚くところを蹴り飛ばしても良いし、畑に生き埋めってのもいい。 自力じゃ降りられない木の上に放置っていうのもいいな。 そんなことを考えていると、ふと思いついた。ゆっくりの中でも母性や家族愛が強いれいむ種。そんなヤツラの絆(笑)を引き裂くのはどんなに楽しいだろうか! 一瞬にして幾通りものパターンが頭の中でシミュレートされる。口端が釣り上がるのを押さえられない。ひゃあ!虐待だぁ! 「やあ、ゆっくりしてるかい?」 ゆっくり姉妹に声をかける。 「ゆっ!おじさん、ここはれいむたちのおうちだよ!!ゆっくりでていってね!!」 「おねえちゃん、にんげんだよ!にんげんにあったらすぐににげろっておかあさんもいってたよ!」 「だいじょうぶだよ!れいむのことはおねえちゃんがまもるよ!!」 なんて美しい姉妹愛。ああ、空気を吸って身体を膨らませている姉れいむを叩き潰したら、妹れいむはどんな声で鳴いてくれるのか…!!! だが、ここで欲望に負けるわけにはいかない。目先の快楽に捕われては、真の虐待お兄さんとは言えないのさ。 「大丈夫だよ、実はお兄さんは君達にもっとゆっくりできる場所を教えてあげようと思ってきたんだ。」 「ゆゆ、ほんとう?」 俺は農具小屋に向かって歩き出す。饅頭どもは半信半疑についてくるが、小屋の扉を開けてやると 「ゆっくりできそうだよ!」 「きょうからここをれいむたちのおうちにするよ!」 と早速お家宣言だ。跳ね回るゆっくりたちに屑野菜を放ってやり、俺は小屋の扉を閉めた。 ここならゆっくりがぶつかったところで壊れるものなど無い。さあ、後はアイツを待つだけだ。 二日ほど経った。ゆっくり共は納屋に監禁したままだ。時折中を覗くと、二匹仲良く跳ね回って遊んでいる。エサは屑野菜や生ゴミを投げ込んでやっている。 実はこの農具小屋、まだ俺が虐待お兄さんだった頃にゆっくりを監禁する場所にしていた。 攫ってきたゆっくりが、いざ虐待の際に弱りきっていてはつまらないので、ゆっくり用の遊具を置いて元気でいられるようにしてあるのだ。 そして、畑のほうには待ち望んでいたアイツ。特別ゲストの登場だ。 「きょうからここをまりさのおうちにするんだぜ!!」 「やあ、ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!おじさん、ここはまりさのおうちだぜ!!ゆっくりでていってね!!」 「大丈夫だよ、実はお兄さんは君達にもっとゆっくりできる場所を教えてあげようと思ってきたんだ。」 俺はまりさを小屋まで案内してやる。 「「ゆっくりしていってね!!」」 出迎えるのはれいむ姉妹だ。 「やあ、れいむ達!今日からまりさもここでゆっくりさせてあげてね!」 「ゆっ!!まりさがいるよ!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ…ゆっくりしていくぜ!!」 準備完了。早速三匹は俺の作ったゆっくり用滑り台で遊んでいる。俺は小屋の戸を閉め、農作業に戻った。 その日の夜。寝る前に小屋に入り込むと、中では三匹が思い思いの場所で寝息を立てている。俺はまりさの頭を掴み、小刻みに振動を与えた。 「ゅ…?ゆぅうぅう…!」 途中で目を覚ますまりさ。しかしその目はトロンとしている。これでは体が火照って眠れまい。見ていると、まりさは手近なれいむに夜這いを掛け始めた。 「ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆーっ!!!」 れいむのほうは身体は反応しているが、起きてはいないようだ。まりさが体を揺らすたび、泡立った粘液が二匹の身体を伝う。 「んほおおおおおおっ!!すっきりー!!」 やがて、まりさがすっきりする。夜這いを掛けられたれいむの方も、心なしか顔がすっきりー!の顔になっている。 しばらく待つと、れいむの頭から小さな目が出てきた。交合成功だ。さてまりさ、お前はもう用済みだ。死ぬ前にいい思いが出来てよかったな。 翌日、れいむ姉妹はまりさがいなくなっている事にショックを受けたようだが、それ以上に新たな命を授かったことが嬉しいようだ。 妹れいむの頭の上には蔓が伸び、八つほどの実が生っている。まだ爪の先ほどの大きさだが、いずれ拳大の大きさの赤れいむとなる。 その日はお祝いということで、いつもの屑野菜と一緒に餡子を投げ込んでやった。 ゆっくり一匹分、昨日迷い込んできたまりさの大きさと同じくらいの量の餡子だが、 「うっめ!めっちゃうっめ!」 「まじぱねえ!」 と意地汚く食べていた。 さらに三日ほど経った。小屋からは饅頭共の跳ね回る音は聞こえなくなり、代わりに 「ゆ~♪ゆ~♪ゆ~っくり~♪して~♪いってね~♪」 だの下手糞な歌が聞こえてくるようになった。 エサをやりにいくついでに様子を見ると、実の大きさもビー玉くらいになり、早いものは髪や目や口が形成され、時折ぷるぷる震えている。 れいむ達はそれを見ては顔をほころばせている。そろそろ頃合だな。 その日の夜、俺は再び小屋に忍び込んだ。みると、姉妹は寄り添って眠っている。妹れいむが姉れいむに寄りかかっている状態だ。 なるほど、妹が体勢を崩さないようにしているんだな。 月の明りを頼りに懐からキリを取り出し、先端をライターで炙る。そして、蔓から生えている一番大きな赤れいむに焼けた針を数回突き刺した。 「み゛ゅ゛っ!」 小さな目をカッと見開いて、赤れいむは生涯を閉じる。通常のゆっくりではこんなもので殺せないだろうが、体の小さな赤ゆっくりはそうもいかない。 おお、目と口から煙を噴き出していて笑える。その調子で合計七つの実を焼き殺した。残ったのはやっと目、口が出来始めた実が一つ。 これなら何が起きたか気付くまい。そのまま小屋を出、俺は眠りに就いた。 翌朝、農作業に使う鋤を取りに小屋に入ると、れいむ姉妹は白目を剥いて気絶していた。起きたら赤れいむがほぼ全滅していたのが相当ショックだったようだ。 とりあえず頬をひっぱたいて起こしてやる。 「おい、大丈夫かれいむ?」 「ゆっ…おに゛い゛ざん゛!!れ゛いむ゛のあがぢゃん゛があ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「いも゛う゛どのあ゛がぢゃん゛がしん゛じゃっだよ゛お゛お゛ぉ゛!!」 取り乱して涙やら涎やらを撒き散らしている。おお、きもいきもい。 「まあ落ち着けお前ら。まだ一匹残っているじゃないか。」 「ゆ゛っ゛!れ゛いむ゛のあがぢゃん゛!!!!」 どうやら気付いたようだ。しかし七匹も死んだという事実はこたえているらしい。涙をボロボロと流して、 「どうじでごんな゛ごどに゛い゛い゛ぃ゛!!」 と叫んでいる。さて、ここからが俺の演技力の見せ所だ。まあ、ゆっくり相手なら誰だって騙せるんだろうが。 「これは栄養失調だな!妹れいむの栄養が足りなかったんだ、このままでは残りの赤ちゃんも死んでしまうぞ!」 「ゆ゛ーっ゛!?え゛い゛よ゛う゛しっぢょう゛!!!?」 「ごめ゛ん゛ね゛え゛、おがあ゛ざんがえ゛い゛よ゛う゛しっぢょう゛のぜいで、ごめ゛ん゛ね゛え゛ぇ゛!!!」 あっさり騙された。というかそんなもち肌で何が栄養失調だ。こいつらには屑野菜や生ゴミしか与えていないが、それでも雑草や虫よりは栄養価が高い。 お前らで栄養失調なら野生のゆっくりなんてみんな干からびてるっての。それは置いておいて、演技続行だ。 「残った赤れいむを救う方法は一つしかない。お前達、やれるか?」 「ゆ゛っ゛!!おね゛がいじまず、れ゛い゛む゛のあがぢゃんだずげでぐだざい゛!!」 「いも゛う゛どのあ゛がぢゃん゛を゛だずげであげでえ゛え゛!!」 よし来た。俺は小刀を取り出し、姉れいむの頭頂部を突き刺して一捻りする。すぐに頭頂部には穴が開き、餡子を覗かせた。 「ゆ゛ーーっ゛!!!おね゛え゛ぢゃん゛にな゛に゛ずるの゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛っ゛!!!」 妹のほうが叫んでいる。一方姉のほうは白目を剥いて痙攣している。そう慌てるな妹よ、次はお前の番なんだから。 今度は妹れいむの蔓を掴み、根元付近を小刀で一周させたあと、少し力を込める。すると、蔓は根ごとすっぽ抜けた。もちろん妹れいむはショックで気絶している。 すぐさま姉れいむの傷口に根の部分を突っ込み、接合部に小麦粉を振りかけてやる。妹れいむの頭も小麦粉で塞ぐのは忘れない。 気付けにオレンジジュースを二匹にぶっ掛けてやれば作業終了だ。 妹れいむは目覚めるなり頭上の蔓がなくなっていることに気付き、 「れ゛い゛む゛のあがぢゃん゛ん゛ん゛!!」 と怒鳴っている。まあ落ち着け。落ち着いてお前の姉貴の頭を見てみろ。 「ゆっ?れいむのあかちゃんがおねえちゃんのあたまにいるよ!?」 「おにいさん、いもうとのあかちゃんになにしたの!ゆっくりせつめいしてね!!」 詰め寄るゆっくり共。うざい、潰したい。いや、我慢我慢。 「妹れいむは栄養失調だからな。健康な姉れいむだったら、赤ちゃんを死なせないで産んであげられるから、差し替えた。これで赤ちゃんは助かるぞ!」 「「ゆーっ!!!!おにいさんありがとう!!!!」」 まあ気にするな。赤ゆっくりを殺したのは俺なんだから。 翌日。他の赤ゆっくりを間引いた結果、残った一匹は栄養を独り占めして破格の成長を遂げた。 通常ならあと三日はかかるところを、すでに目、口、髪、リボンが形成され、 「ゆー、ゆー」 と声を上げることも出来る。生き残ったのはれいむ種だったか。 「ゆっきゅいしちぇいっちぇね!」と喋れるようになるのもすぐだろう。明日には蔓から離れるかもしれない。 妹れいむは姉れいむの頭上を見上げ、 「ゆ~♪れいむがおかあさんだよ!ゆっくりしてね!」 「はやくおかあさんといっしょにゆ~っくりしようね~♪」 と声をかける。一方、姉れいむのほうは微妙な表情を浮かべている。この表情…おそらく俺の企ては成功している。だが、確証が欲しかった。 「おーい、妹れいむ!もうすぐ赤ちゃんが生まれそうだから、お祝いにドアのところにお菓子を置いてあるよ!お姉ちゃんれいむにゆっくりとってあげてね!」 「ゆっ!?お菓子!?取ってくるよ!!」 妹れいむはドアのほうに駆け、散らばったクッキーを舌で掻き集めている。そのとき、俺は確かに無く耳にした。 姉れいむが頭上の蔓…蔓に実った赤れいむを見つめながら 「れいむがあかちゃんのおかあさんだよ…」 と、妹れいむに聞こえないよう呟くところを。 あああああああああ、ニヤニヤが止まらない!!姉れいむのほうは、たった一日蔓を頭に生やしただけで、母性を持ってしまったようだ。 もう、口の両端が目に届きそうなくらいに笑顔が止まらない。 その日、俺一度も休みを取ることなく、全力で農作業を進めた。明日は、あのれいむ姉妹に付き合ってやらなきゃいけないからな…! 翌朝、小屋に入ると赤れいむが生まれる寸前だった。 姉れいむの蔓の上で、トマトほどの大きさに育った赤れいむは身体をブランコのように揺らし、妹れいむはをそれを見て 「がんばってね!がんばってね!!」 と声をかけている。そして赤れいむが一際大きく揺れると蔓から頭がちぎれ、ぽてりと地面に落ち… 「ゆっきゅいしちぇいっちぇね!」 鳴いた。妹れいむは感動のあまり目を潤めている。だが、次の瞬間。 「おかあしゃん!おなかしゅいた!!」 赤れいむは。姉れいむに向かって。「お母さん」と言ったのだ。戸惑いながらも、嬉しそうな顔をする姉れいむ。しかし妹れいむは黙っていられない。 「どお゛じでぞんな゛ごどい゛う゛のお゛お゛お゛!!れ゛いむ゛があがぢゃんの゛お゛があざんでしょ゛お゛お゛お゛お゛っ゛!!!」 姉れいむのほうも、悲しそうな顔をして赤れいむから目を逸らす。よく分かっていないのは赤れいむだ。 「ゅ?れいみゅのおかあしゃんはこっちだよ?」 言いながら姉れいむのほうに飛び寄る。妹れいむは半狂乱になって 「ちがうの゛お゛お゛お゛っ!!れ゛い゛む゛があがぢゃん゛の゛お゛があざん゛な゛ん゛だよ゛お゛お゛っ!!!」 と訴える。まあそうなるだろうな、赤れいむは物心ついたときには姉れいむの頭の上だったんだから。 こうなると、気になるのは姉れいむの反応だ。姉れいむは悲しそうな顔をして 「ゆう、あかちゃんのおかあさんは、あっちのれいむだよ。あっちのれいむをおかあさんってよんであげてね…。」 おお、母性愛よりも妹を気遣う家族愛が勝ったか。てっきり妹に向かって「このこはれいむのあかちゃんだよ!」ぐらい言うかと思ったが。 そんな姉の気遣いにも気付かず、妹れいむは赤れいむと姉れいむの間に割って入り、 「おねえちゃんはゆっくりむこうにいってね!!」 と威嚇する。あー、本当笑える、こいつ等。 それからも修羅場は続いた。赤れいむが滑り台の着地に失敗したとき、「おかあしゃーん!」と泣きながら見るのは妹れいむに気を使い、離れている姉れいむのほ うだ。 妹れいむが(俺の用意した)昼飯を持ってきた時も、姉れいむのほうを見て「おかあしゃんもいっちょにたべよ?」といった後、慌てて「ゆっきゅりまちがえちゃ った!」だと。 そのたびに姉れいむは悲しそうな、済まなそうな顔をし、妹れいむは「れいむがおかあさんだよ!!」声を荒げる。そんな光景が昼間中続いた。 夕方になった。赤れいむも学習能力が出てきたのか、ここ三時間ちかく姉れいむを「おかあしゃん」と呼んでいない。今は歌を歌っている最中だ。姉れいむは少し はなれたところでそれを聞いている。 「ゆ~♪ゆ~♪ゆっくりしていってね~♪」 「しちぇいっちぇね~♪」 俺には不快な音波にしか聞こえないが、ゆっくり共にはそうでもないんだろう。目を閉じて聞き入っている。だがそのとき、赤れいむの悪い癖が起きた。 「ゆ~、おかあしゃんもいっちょにうたお?」 うっかり姉れいむに「お母さん」と呼びかけてしまったのだ。妹れいむの頬が膨れていく。アレはキレてる。相当キレてる。 「なんで!わからないの!れいむが!おかあさんだよ!!」 赤れいむのすぐ近くで地団太を踏むようにジャンプする。赤れいむのほうは本気で怒られて涙目だ。 「もういいよ!!そんなにおねえちゃんがすきなら、おねえちゃんのあかちゃんになればいいんだよ!!」 言いながら、妹れいむは赤れいむに体当たりした。人間で言えば思わず手が出てしまったというところか。 しかしゆっくりだと手が出てしまったでは済まない。その体格差には赤れいむは一メートルほどポヨポヨと跳ね、泣き出してしまう。 瞬間。 妹れいむは。 猛スピードで体当たりしてきた姉れいむに弾き飛ばされた。 一メートルなんてものではない。ノーバウンドで跳ね飛ばされた妹れいむは壁で跳ね返り、赤れいむから少し離れた場所でやっと起き上がる。 その赤れいむまでの距離を遮るように、姉れいむが立っていた。 「れいむのあかちゃんになにするの!!!いもうとでもゆるさないよ!!!!」 ここで母性愛が勝ったー!一瞬睨み合った後、お互いに飛び掛って喧嘩を始める姉妹。 いや、これは喧嘩なんてものではない。転げ周り、お互いの身体に食いつき、跳ね飛ばし、踏みつける。 まさに殺し合いだ。傍目からはネコの喧嘩に見えるが。 俺は赤れいむが巻き添えを食わないよう手の上に乗せてやった。赤れいむは涙を流しながらその光景を見つめている。 やがて、体格差を生かした姉れいむが妹れいむに噛み付いたままのしかかる。 姉れいむが妹れいむに「れいむのことはおねえちゃんがまもるよ!!」って言ってたのは一週間前だっけ? とにかくこのままでは死んじまうな。俺は二匹を引っぺがした。 「おにいさんなにするの!!」 「じゃましないでね!!」 で、二匹揃って俺の手の上の赤ゆっくりに気付く。 「「れいむのあかちゃんをはなしてね!!!」」 お互いにその発言が気に入らなかったのか、すぐさま戦闘態勢に入る二匹。 「まあ、待て二匹とも。」 二匹は互いを警戒しあいながら俺のほうを見る。ああ、俺はこの一言を言いたかったんだ。この一言のために、今まで準備をしてきたんだ。 今までの準備が走馬灯のように頭をよぎる。ああ、やっと報われる。このために、潰したい饅頭を潰さずにがまんしてきたんだ。 ようし、言うぞ?言っちゃうぞ? 「そんなに自分の子供って言うなら、この赤れいむをお互いに引っ張って、勝ったほうが母親ってことにすりゃいいじゃん。」 言って、赤れいむを二匹の合間に放り投げる。二匹は一瞬間をおいた後。 「いぢゃい゛い゛い゛いっ!!!お゛があじゃん゛、い゛だいよお゛お゛お!!!!はなじでええ゛え゛え゛え!!!」 「あかひゃんがひたがってうよ!!!!ゆっくいはなふぇええええ!!!」 「そっちがはなへええええええ!!!!」 おお、醜い醜い。姉れいむは赤れいむの髪を、妹れいむは赤れいむの顎を噛み、それぞれの方向に引っ張る。 赤れいむのほうはかわいそうに、二倍近く伸びてしまって口から餡子を吹き出している。 「あかひゃんのあんこがでひゃってるよおおお!!!」 「おねえひゃんがはなへばあああ!!!?」 「おまえがはなふぇええええ!!!!」 一方赤れいむは、体の真ん中から裂け始めている。 「もっちょ…ゆっきゅり…しちゃか…」 でた、断末魔宣言だ。言い終わったと同時に、二匹は吹っ飛んだ。赤れいむが千切れた反動だ。 「ゆ、あかちゃん…は…?」 「れいむの…あか…ちゃん…」 …。 ……。 ………。 「「むーしゃむーしゃ、しあわせ~♪」」 食うのかよ!!!しばらくたち、二匹とも口の中のものを咀嚼し終わった時点で、ようやく口の中に広がった甘味の原因に気付いたようだ。 「れいむの…あかちゃんが…いもうとに…」 「おねえちゃんが…れいむのあかちゃんをたべちゃった…」 「よくも…!!!」 「れいむのあかちゃんを…!!!」 「「ゆっくりしね!!!!!」」 再び始まる大乱闘。今度は止める理由も無い。俺は小屋の戸を閉め、家に戻った。あー、井戸水で冷やしておいた西瓜うめぇ。 完全に日は落ちた。小屋のほうからは物音一つ聞こえない。西瓜を食べ終わった俺は、小屋のドアを開けた。 みると、そこら中に散らばった餡子。小屋の真ん中では、千切れたリボンの近くで荒い息を吐く傷だらけのれいむが一匹。 辺りにはゆっくりの表皮や目玉が散らばっている。 コイツ、妹れいむか?姉れいむか?今までは体の大小で判断つけてたんだが、比較対象がなくなっちまってわからない。 れいむのほうは、俺のほうを見ようともせずにふーふー唸っている。さて、どうやって声をかけるかな。 「あーあ。死んじゃったな、二匹とも。」 びくっと震えるれいむ。しかし、その顔はこちらを向かない。 「俺にはよくわからないけどさ。」 言葉を続ける。れいむは動かない。 「あの赤れいむにとっては、どっちも本当のお母さんだったんじゃないかな。」 「ゆ………。」 ゆっくりと出口に這っていくれいむ。そして。 「おにいさん、いままでありがとう…れいむはここからでていくね…」 餡子を片付けた後、小屋の周りを一周してみたが、れいむの姿は無かった。 うん、昔はゆっくりを肉体的にいじめていたが、こういう精神攻めも案外面白いな。 次の獲物はどうやって虐めてくれようか…。よし、今夜は虐待お兄さん復活祭りだ!農家なんてどうでもいいぜ!っひゃあ、虐待だあ!! 数日後、一匹のれいむがドスまりさに討伐された。最近群れに迷い込んできたれいむは、にんっしんっ!しているゆっくりの蔓を片っ端から噛み千切ったのだとい う。 そのれいむは「あかちゃん…やっとあえるね…」と呟き、事切れたそうだ。 /**** 書くのに丸一日かかった。 本当はゆっくりが食虫植物に食われるのを書いていたんだ!でも、 行き詰る→新しいネタ思いつく→メモっておく→もう一度書き始める→行き詰る→新しいネタの続き思いつく→メモっておく→以下ループ。 by町長 /****今までに書いたもの fuku2120.txt 満員電車とゆっくり このSSに感想を付ける
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ある森の奥に、ゆっくりの群れがあった。 餌は豊富で天敵も少なく、皆に笑顔が絶えない、とてもゆっくりとした群れだった。 群れの誰もが、この幸せが永遠に続くと信じて疑わなかった。 その日もゆっくり霊夢の一家が、楽しそうに遊んでいた。 「ゆ~、こっちこっち~」 「おねーしゃん、まっちぇ~」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~!」 「みんな、きをつけてあそんでね!」 そんな時、一匹のハチがかすかな羽音と共にやってきた。 体長一センチ足らずの、ごく小さなハチである。 ハチは赤れいむの頬にとまると、その尻の先にある針を赤れいむに突き刺した。 「ゆ!いちゃいよ!」 「あかちゃん、だいじょうぶ!?」 親れいむがハチに気付いた頃には、既にハチは空へ飛び立っていた。 慌てて赤れいむの方へと駆け寄り、患部をペロペロと舐める。 「いたいのいたいの、とんでけー」 「ゆーん!ゆーん!」 幸いにして小さいハチだったため傷も小さく、毒性も低かったようだ。 数分もすると痛みは引き、赤れいむは再び元気になって遊び始める。 その姿を見て、親れいむもほっと一息ついた。 この時は誰も、この小さなハチが群れ全体を恐怖に陥れるなど思いもしなかった。 一ヶ月ほどが経った。 赤ゆっくり達も無事成長し、子ゆっくりと呼べる大きさになった。 何一つトラブルなど無い生活だったが、ある日突然、一匹の子れいむが苦しみだした。 「ゆゆ!な、なんかいたいよ!」 「ど、どうしたの!?」 「おねえちゃん、だいじょうぶ?」 「い、いたいよおおおおおおお!!!!!」 家族達が心配そうに子れいむの周りに集まってきた。 しかし、痛みの原因も分からず途方にくれるばかり。 一方、子れいむの痛みはどんどん激しさを増していった。 そしてついに。 「ゆぎゃああああああああああ!!!!!!!!」 一層大きな子れいむの悲鳴と共に、子れいむの皮に小さな穴が開いた。 同じ穴はあちこちから次々と開き始め、その数は最終的に総計10ほどとなった。 そして、その穴から小さなハチが姿を現し、外に出るとすぐに飛び去って行った。 巣には餡子の減った子れいむの死骸と、呆然とする家族達が残された。 同様の出来事はれいむ一家に限らず、群れのあちこちで起こっていた。 ゆっくりの種や大きさなどは関係無しに、突然苦しみ出したら、体内からハチが現れたというものだ。 平和だった群れに訪れた突然の事件に、群れの幹部であるゆっくり達は頭を悩ませていた。 「ゆ~……いったい、なんなんだろう……」 「あんなはちさん、しらないよ」 「わからない、わからないよー!」 その時、群れ一番の識者であるぱちゅりーに、一つの仮説が浮かんだ。 「むきゅ、もしかするとあれは『きせいばち』かもしれないわ」 「「「「「き、きせいばち!?」」」」」 「みたことない?いもむしさんから、はちさんがでてくるの」 「ゆゆ!れいむは、みたことあるよ!」 「まりさもあるんだぜ!」 「むきゅ……おそらく、あれのいっしゅよ」 実際、ぱちゅりーの予想は当たっていた。 このハチは、ゆっくりの体内に卵を産みつける寄生バチである。 成虫はゆっくりの体の大きさに見合った数の卵を産み、幼虫は体内の餡子を食べて成長する。 その際ゆっくりが暴れないように、痛みを抑える物質を分泌しながら食べる。 そして蛹になり羽化すると、餡子と共にゆっくりの皮を食い破って外へ出る。 その時になると、もうその物質は必要ないので分泌されない。 他の多くの生物同様、ゆっくりも体内からの刺激に弱い。 体内から餡子と皮を食い破られる痛みは体外からのそれの比ではなく、大いに苦しんだ後ショック死してしまうのだ。 自覚はなくとも、餡子が減って抵抗力が落ちているのも死に至る原因の一つであろう。 「じゃ、じゃあ、どうすればいいの!?」 「むきゅ……それは……」 ぱちゅりーは困ってしまった。 寄生されたゆっくりを助けるには、体内の幼虫のみを取り出すしかない。 しかし、もちろんそんな方法は存在するわけがない。 「とりあえず、ひがいをひろげないように……いまはそれしか……」 「も、もしかして、さされたらたすからないの!?」 寄生バチに寄生された芋虫は、その時点で死が確定される。 そのことをぱちゅりーは知っていた。ということは、自分達も同じであろう。 「ざんねんだけど、たぶん……」 「ゆゆうううううう!!!!!!」 「そんなのいやなんだぜえええええ!!!!!!」 たちまちのうちに、皆泣き出してしまう。 今まで平穏に暮らしていたので、予期せぬ敵の出現にパニックになっているようだ。 そんな時、一匹のまりさが叫んだ。ぱちゅりーの夫であり、群れのリーダーのまりさだ。 「しょうがない!きょうこうさくにでるよ!」 リーダーまりさは、群れのゆっくり達をすぐに集めた。 「ゆうう……なんなんだろう」 「りーだーから、おはなしがあるって」 「だいじなはなしなんだね、わかるよー」 ざわめくゆっくり達の前に、リーダーまりさが姿を現す。 その横には、妻のぱちゅりーもいる。 「みんな、よくきいてね! はちさんにさされたことのあるゆっくりは、まえにでてきてね!」 ゆっくり達はポカンとする。 ハチに刺されることの何が問題か、全く理解できなかった。 とりあえず言われた通りに前に出る。群れ全体の一割にも満たないが、少しはいるようだ。 「みんなは、たしかにさされたね?」 「ゆ~、そうだけど?」 「それじゃあつぎは、ぱちゅりーのはなしをきいてね」 ぱちゅりーが、寄生バチについて話し始めた。 ゆっくりに寄生するハチが出現したこと。 ゆっくりに卵を産みつけ、幼虫は体内で餡子を食べて成長すること。 羽化する時の痛みで、ゆっくりは死に至ること。 そして、助ける手段はないということ。 「こ、こわいよおおおおお!!!!!!」 「まりざ、だずがらないのおおおおお!!!!!!」 「ゆーん!!おかーしゃん、たちゅけちぇえええ!!!!!」 「ちんぽおおおおお!!!!!」 話が終わった時には、群れは大パニックであった。 幹部達同様、元々天敵の少ない土地で初めて現れた大敵の恐怖は、相当なものだったようだ。 そんな中、リーダーまりさは声を張り上げる。 「だいじょうぶだよ!ひとつだけ、たいさくがあるよ!」 「ゆ!な、なんなの!?」 皆がリーダーまりさに注目する。 「それはね……いまのうちに、ゆっくりごと、はちさんをころすんだよ!」 水を打ったように、場が静まりかえった。 すぐにはリーダーまりさの言っている意味が分からなかった。 そんな中、リーダーまりさはピョンと跳ね、前に出ていた一匹の赤れいむの所へ着地する。 悲鳴をあげる間もなく、赤れいむは潰れ絶命した。 「はやくしないと、みんなさされるよ!」 その声を皮切りに、一斉に群れのゆっくりが襲い掛かっていった。 「たすけてええええ!!!!!!」 「むれのために、ゆっくりしんでね!」 「おかあしゃああああああん!!!!」 「やめてええ!!!!ありすのあかちゃん、ころさないでえええ!!!!」 「いやだぜ!さされたゆっくりは、ゆっくりできないんだぜ!」 「わがらない、わがらないよおおおお!!!!!」 あっという間に、前に出たゆっくりは全員潰された。 何匹かのゆっくりは、体内にいたであろうハチの幼虫や蛹と共に潰れていた。 幼虫も蛹もいないゆっくり達の方が多かったが、それはおそらく多種のハチに刺されたのだろう。 とんだとばっちりである。 「よし!これではちさんは、ぜんいんやっつけたよ!」 「これでまた、ゆっくりできるね!」 「むきゅ……ごめんなさい、みんな……」 ゆっくり達はぞろぞろと帰っていく。 後には家族を殺され、すすり泣くゆっくりの声が聞こえた。 その翌朝。 今日も元気に、あちこちのゆっくりからハチが羽化していった。 「またはちさんがでたよ!ぱちゅりー、どういうこと!?」 「むきゅ……たぶん、さされたことを、わすれたんだと……」 「な、なにそれ!ばかばっかりだね!」 リーダーまりさは再び群れのゆっくりを集めた。 あちこちで泣いているゆっくりがいる。今朝、家族が犠牲になったのだろう。 「はちさんにさされたか、ちゃんとおもいだしてね! おもいだしたら、ちゃんとほうこくしてね!」 しかし、今回は前に出てくるゆっくりは一匹もいない。 当然である。報告しても昨日みたいに殺されるのが分かりきっているのだ。 そもそも、今思い出せるようなら昨日でも思い出せるだろう。 「ゆうううううう!いないはずないでしょ!」 「むきゅ……まりさ、そのへんで……」 結局、今日は何の成果も挙げられなかった。 その日から、ゆっくり達の生活は一変した。 全ては寄生バチへの恐れによるものである。 まず、皆が外出をためらうようになった。 「ゆうう……おそとで、あそびちゃいよ……」 「でも、はちさんこわい……」 昨日まで元気に遊んでいた赤ゆっくりや子ゆっくりは、巣の中に引きこもるようになった。 「まりさああああ!!!!あかちゃんのごはん、とりにいってよおおおお!!!!」 「いやだぜ!れいむがいくんだぜ!」 「おにゃかちゅいたよおおおお!!!!!!」 「ごはんまだああああ!!!!」 親ゆっくりの中には、子供への食料を取りにいくことを拒むものも現れた。 時々巣の中にハチが侵入したりすると大騒ぎだ。 「ゆぎゃああああああ!!!!!!」 「こっちこないでええええ!!!!!」 「さ、さすんなら、れいむをさしちぇね!」 「どぼちてちょんなこというのおおおおおお!」 「って、なんででこっちにくりゅのおおおおおお!」 赤まりさが刺され、ハチが巣から外へ出て行った。 そして、その直後。 「ゆっくちちね!」 「まりちゃがいりゅと、ゆっくちできないよ!」 「はちさんにさされたら、ゆっくりしんでね!」 「おかあしゃん、たちゅけちぇえええ!!!!」 「ごめんね、あかちゃん……」 刺されたゆっくりは、すぐに家族の手にかけられた。 しばらくすると、家族もハチを発生させた家として危険だと見られ、皆殺しにされるようになっていった。 もちろん、外でも危険はつきまとう。 仲の良い数匹で震えながら狩りをしているところに、ハチが姿を現した。 「ゆゆ!で、でた!」 「ゆっくりしないでにげるよ!」 「あ、ありすをさすのは、いなかもののやることよ!」 たちまち狩りは中止、逃亡の開始である。 もちろん刺されると、仲など一瞬にして崩壊する。 一匹のゆっくり霊夢を刺して、ハチは去っていった。 「みんな、れいむがさされたわよ!」 「ゆうう!!!そんなこといわないでえええ!!!!」 「れいむが、さされたって!?」 「さされたゆっくりは、しょけいだちーんぽ!」 あっという間に集まってきたゆっくり達によって、すぐさま潰される。 狩りに行こうとしない親ゆっくりでも、こういう時は速かったりするものだ。 また、一匹で狩りをしているゆっくりが刺されると、 「ゆゆ……どうするんだぜ…… と、とにかく、むれにはだまっておくんだぜ……」 殺されるのを承知で報告するゆっくりはいない。 彼らのような者がいるため、決して寄生バチの根絶はできないのだ。 また、 「ゆううううう!もうだめなんだぜえええええ!」 絶望して川に身を投げる者もいた。 そして更には。 「みんな!このありすが、さされたんだぜ!」 「ゆ!しかたないね、しょけいだよ!」 「ゆっくりしね!」 「あ、ありすはさされてなんて……ゆびゃああああ!!!!!!」 嫌いなゆっくりに無実の罪を着せ、皆に殺させるゆっくりも現れた。 冬が近づくと、冬篭りのため嫌でも狩りに行かなければならなくなる。 外出が増えると、その分刺される危険も増えていく。 「ただいま!あかちゃんたち、いいこにしてた!?」 「ゆ……おかーしゃん、さされちぇないの……!?」 「ゆゆ!さ、さされてなんかないよ!」 「うそだ!きっとさされちゃよ!」 「さされちゃおかーしゃんとは、ゆっくちできないよ!れいみゅは、いえをでりゅよ!」 「どぼちてえええええ!!!!!いまでたら、だめえええええ!!!!!」 もはや家族間ですら信用を置けなくなっていき、巣を出て行く赤ゆっくりや子ゆっくりもいた。 しかし、親の加護無しに生き延びれるほど、冬は甘くないということは知らなかったようだ。 そして、今のところハチの被害を受けていない家族が大半だが、彼らも常に恐怖に怯えている。 ハチの脅威に晒されている現在、 「「「「「むーしゃ、むーしゃ……」」」」」 以前のように『むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~!』などと言えるゆっくりは一匹もいなかった。 そして、冬が到来した。 全てのゆっくりが自分の巣にこもり、冬篭りをしている。ぱちゅりーの家もそうであった。 「ゆ……おとーしゃん、こなかったね……」 「むきゅ……」 子まりさと子ぱちゅりーが言う。 ぱちゅりーの夫のリーダーまりさは、もう一ヶ月近く巣に戻っていない。 ぱちゅりーには分かっていた。おそらく、狩りの最中にハチに刺されたのだろう。 そして恐怖にかられ自殺したか、どこか遠い所へ逃げていったか。 刺された時点で、どこにも逃げられる場所など無いというのに。 「おねーちゃん、おなかすいたね……」 「むきゅ、がまんしましょう……」 夫のまりさがいなくなり、体の弱いぱちゅりーだけでは冬を越すのに十分な食料を集められなかった。 自分も2人の子供も、春までは持たないであろう。 死を受け入れてからは、逆に冷静になれた。そして考え続けた。 確かにあのハチは恐ろしい存在だ。しかし、そこまで騒ぐほどだったのだろうか? 沢山のゆっくりが死んだように思うが、その中で本当に寄生されていたのは、ほんの一部なのでは? 多くは寄生された疑いがあるとか、寄生されたゆっくりの家族だとか、そんな理由だったように思う。 それなら本当にハチが原因で死んだ者は、ごく稀に現れるれみりゃ等の捕食種による被害と大差ない。 ならば、多少の被害は出ても、ハチにそこまで怯えず幸せな生活は続けられたのだろう。 「むきゅ、おかあさん、なんでわらってるの?」 「いや……ちょっと、ばかばかしくなってね……」 なまじ中途半端に知恵を持ってしまったために、必要以上に怯え、疑心暗鬼になった。 その結果が度重なる同族殺しや狩りへの怠慢。十分な食料を集められたゆっくりはどれほどだろうか? ぱちゅりーは、何も考えずに寄生されることができる芋虫が羨ましくなった。 しかし、もはや後の祭りである。この考えを伝えようにも、春までは生きられないのだから。 冬が終わり、春になった。 多くのゆっくりが餓死し、多くのゆっくりが越冬に成功し、交尾をして子を育み始める。 だが、誰も彼もが寄生バチへの恐怖に怯え続けていた。 もうこの森からは、ゆっくり達の幸せな声は聞こえない。 終 過去作 ゆっくり鉄骨渡り ゆっくりアトラクション(前) ゆっくりアトラクション(後) ありすに厳しい群れ(前) ありすに厳しい群れ(中) ありすに厳しい群れ(後) 好かれるゆっくりと嫌われるゆっくり このSSに感想を付ける